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また廃番か? 2023/07/09

ゴーセン ミクロ16がネット上から消えました。  元々、逆輸入とかの記憶もあるので、輸入在庫が切れたような気が。  割安でソフトで非常に重宝していましたが、

代替品を探さなくてはならなくなった。 

 

入荷待ちだったら良いのですが先が見えないのでとりあえず、割安のナイロンモノを何種類か手当たり次第にカット品で仕入れ、性格(伸び率)を測定したいと考えています。  

従来なら、張って打って感じを予測していましたが、打ち方が不安定な現状ではそれも困難。    数値的な裏付けが無いと、安心してお客さんに薦めることも難しい。

 

中断している伸び率の測定を、なるべく早く始めたいと考えております。  測定機?は完成しています。    ストリング探しもいいかげん疲れましたね。

 

2023/0826 2ロール 入手  大阪のショップさんから仕入れることが出来ました。  割高でしたが、背に腹は代えられない。  一安心です。

 

 

 

パッケージ表記にご注意 2023/03/10

ストリング支給で張替えのご依頼。   材質はポリ、ゲージ127、色は黒。   某有名メーカーのパッケージには目立つ場所に 「脅威の柔らかさ」 の表示。

程度の差こそあれ、そこそこ柔らかいだろう・・と思ったが、引っ張ると伸びない。   今までの経験の中でも一番伸びない部類。  引っ張って伸びない は

ボールが当たっても伸びないので、打感は固いはず。    「脅威の固さ」なら納得だが、メーカーの担当者さんは何でこんな表示にしたの?   いくら何でもひど過ぎ。  

 

スピンとか凹凸で引っ掛かるとか、よく判らん表記が多いが上記は、技能に関係なく直接打感を表現するもの。  明らかに間違いで即、回収が適切のレベル。

ショップ店員はパッケージの文字でお客に薦めると思うので、柔らかさを求めて張った人は、相当にがっかりしただろうなと思うばかり。   理解に苦しむ表示、表現が多いような

気もするので、くれぐれもご注意ください。 

 

 

 

また廃番 2022/10/17

愛用のフォーテン コンペティション16 白 が製造停止のよう・・  けっこうショック。  またか! (フォーテンでは初めて)  

自分も長く使っており更に、お客様にも張っている。  数ロールほどの在庫はあるので急に困ることはないが、また代替品を探さなくては・・・  ほんとに困る。

 

ネットで調べるとコンペティション16の白は無いが黒、ベージュ、黄があったので急ぎ購入。   今までの経験ではナイロンモノは、色で打感の違いは無い・・はずだったが、

これは明らかに違う。  黒はメチャ固い! 何これ・・ ミクロスーパー並みじゃん・・  黄は白より少し柔らかい感じ。  ベージュは未使用。 

 

黒は手触り感も違うので、絶対違うだろ!と言いたい。  けど、私が在庫少ない白を使う訳にはいかんので、やむなくテンション3 lbs落として黒を張ってる。  これはこれでまあ良い感じ。

  私は当分、黒を使うことになりそう。

 

最近、バボラ SYN Gut16なるストリングを発見、早速1ロール購入。  見た感じ近そうな(ただの感) バボラも廃番が多いような気もするけど・・  張った(引いた)感じは

コンペティションに近そうな気もする。   訂正  多分、ゴーセンのミクロ16のOEMのような気がする。  ←04/07訂正 多分、間違い。 申し訳ありません。  多分、ミクロスーパー16に

近い感じ。

 

長く使えそうなストリングを見つけても、これだからやってられない・・  今はOEMが多いから、似たストリングはどこかにあるとは思うが、探すのが大変。

 

 

 

張りマニュアル公開の理由 2020/12/24

生涯マル秘のつもりは無く、どこかで公開した方が良いと考えてはいたのですが、いつ公開するか・を思案中でした。

 

開業から10年目の時点で、危機的状況が2度。 共にストリング関連で、一度目はIKIさんのルキシロン代理店停止。  困ったのが二度目2008/9月のファガソン廃業。 

ナイロンはほぼファガソンで仕入れていたので、全て代替品(7〜8種位)を探す必要が生じました。  この時、目安が無いので希望の固さのストリングがまったく探せない。  

頭が真っ白でしたね。

 

何とか揃えたのですがやたら時間も掛かり、微妙には変わるのでお客様にもご迷惑を掛けてしまいました。 これでかなり疲れた。  更に、今後もストリングの廃番は必ず

あるはずなので正直、こんな商売やってられん・の気分になり、それがきっかけで2011/10にマニュアルを公開。 

 

広島張り含む時間張りは、ストリングの性格が明確に出るのでテキトーに選ぶ訳にはいかない。   お客さんの許容範囲に納まるストリングを必ず選択しなくてはならず、

ストリングのスペックが現状のままならストリンガーは今後も必ず悩むことになります。   失敗するお客様も減ることはない。  これほど酷い商品も今時ないですね。

何かの特性を表す数値が一つあれば探し易くなり、失敗も少なくなるので、気合を入れて「伸び」測定器製作に注力します。

 

下は、過去に挫折した評価で使用した治具。  図面をひいて知り合いの加工屋さんに製作依頼。  結構高かった・・ これが使えそうなので、少し手を加えて試してみます。

 

ラケットに張って測定云々の雑誌記事もありましたが、張ってしまうと張りのバラツキ、ラケットの個体差等々の不確定要素が山盛りになりますので、ストリング1本で測定しないとダメですね。

 

 

 

最後まで残りそうな課題 2020/12/05

料理にはレシピがあり、知識がある方なら材料、調味料、調理方法を守れば同じ味が再現できる。 

 

張り替えは、材料の一つのラケットはスペック(Flex除く)が表示され選択の目安になっている。  調理方法に当たる張り方は、広島式含む時間張りで

概要及びポイントを知る人は多くなっているかと。   しかし、二つ目の材料のストリングのスペックは材質とゲージだけ。 性格は主観的な表現が多く

客観的な数値が無い。  つまり、重要な材料の味が不明確もしくは曖昧という困った状況。

 

ボールはストリングに当たり反発するので、ストリングの挙動が最も重要と思うが、この環境の中で張替えを行うことは常に不安との戦い。 ショップの

従業員もホームストリンガーも、新しいストリングを張るときは必ず悩むことになる。 正体不明の薬を飲まされているような気分。

 

ラケットメーカーもストリングを販売しているが、合成繊維の工場を持つラケットメーカーなど皆無のはずで、おそらくOEM(委託製造)が数値の公表を渋る

要因とは思うのだが、工業製品にも関わらずこの状態がいつまで続くのだろうか。 悩みは尽きない。

なので、ネットの情報に頼る、口コミに惑わされ易い、他のストリングに手を出し難い等々、受難の時代はこれからも続きそうです。

 

ストリングは使ってみないと判らない。 食べてみないと判らない食べ物と同じなので、3〜4千円も出費してそんなの誰も買わないですね。 現実には

類似品が多数存在するはずなのですが、それを知るすべが無い。  ですので、以前に挫折したストリングの性格評価を何とか再開しなくては・の思いが

募ります。

 

 

 

国内のストリングを販売しているメーカーさんへ 2020/11/09

ポリもそろそろ種類が増え過ぎで、ナイロンモノと同じ混沌とした世界になりそうな気がします。 そこで、

JISの合成繊維の規格に伸び率という項目がありますが、ストリングも数値で性格の一部を表示することは如何でしょうか。  販売している個々の測定値は

既にあると思いますので、それを公開して頂けると選択の目安になり、失敗が減ることにもなると思います。

 

伸び率が良いかは判りませんが、今まで引いてきた印象では柔らかいほど伸びる感じがあり多分、伸び=性格と言えるような気が。

 

性格が判らないから主観の情報に惑わされる、あれよりこう等の相対的評価しかない、使ってみないと判らない、怖くて手が出せない等があると感じますので、

可能であれば全ての材質で目安となる数値表示の前向きなご検討を宜しくお願い致します。 

 

 

 

以降は↓以前の記事へ移動

 

 

 

 

 

ダンロップ マックスフライ・マッケンロー

ウッドの名品 ジョン・マッケンロー選手愛用

 

 

 

 

 

 

本文 ストリング

このページは、情報(数値表示)が極めて少ない感覚的で主観的な商品のお話です。

 

 

全体として

実に多様のストリングが発売されているが、正直な処使ってみなければ解らないものばかり。パッケージをみても、非常にあいまいな表現がされており、

各社独自の工夫も多いと思うがやはり明確さに欠ける。テニス雑誌等で、ときおり代表的なストリングの試験値を紹介したものもあるが、

少数すぎてほとんど無意味。

 

全メーカーの全品種がなにかしらの規格(例えばJIS)に基づく数値で性能を表現することが必要と感じる。繊維産業の歴史は長く、利用出来そうな

物理特性はあると思うが当然企業秘密の部類になるため、データを公表するメーカーはまったくない。実に閉鎖的な世界です。

 

 

 

性格が重要(実にやっかいな問題)

「ガットはよくわからない・・」とお客様によく言われます。男女を問わず多くの方が同じご意見でしょう。一応張りのプロである私も、

手持ち以外(他社のストリング)はまったく判らない。まれに他社のストリングを入手することがありますが、正体不明のストリングをお客様に

張ることなど出来ず、自分のラケットに張るのも気持ちが悪いし、残念ながら年末の景品程度の使い道しかありません。

 

ナチュラル、ナイロンマルチ、ポリエステルの性格はおよその見当はつきますが、問題はナイロンモノ。正直なところ、これほどまでに多様の打感が

あるとは思いもよらず、ご迷惑をお掛けした方も多いと反省しています。ナイロンモノは、シンセティックストリングの中では一番歴史が古く(30〜35年)

混ぜ物と構造の組み合わせが豊富のためと思われます。

 

更に最近は「モノマルチ」などという複合型のストリングもあり、ますます混乱するばかり。ショップの店員ですら、在庫全体の序列(打感の度合い)を

把握している人はほとんどいないでしょう。ましてや一般のお客様が理解できるわけがなく、大体に於いて「失敗する可能性の高い選択」を迫られる。

パッケージを観ても解らず店員に聞いても解らなければ、バクチのような買い物になるのは必死。

 

それならば、値段の高いストリングを選択すれば良いのでは?・と考える方(女性に多い)も多いかと感じますが、ご安心ください。決して(多分)合いません。

残念ながらストリングはそんなに甘いものではないのです。ストリングとテンションの組み合わせ方は星の数ほどありますので、以下をよーくご参照ください。

 

 

 

ハイブリッド

当初、アンドレ・アガシ選手が始めて話題になった張り方で、縦と横のストリングの種類を変えて張ることを指す。しかし糸種をただ変えれば良いと

いうものではない。どの様なストリングを選べば良いのかというと、縦糸は伸び難い(硬い、太い)タイプで、横糸は伸び易い(柔かい、

細い)ストリングが良い。ナチュラルを入れる場合は必ず横糸に張ることが重要。

 

ところが数年前、ポリの老舗のメーカーがハーフ(半分)2本をセットにして発売したストリングがあった。性格の違う二種類が一つのパッケージになっている。

通常は必ず縦横の指定があるはずだが、驚いたことに指定が無い。つまりどちらを縦に使おうが横に使おうが構わない らしい。これにはビックリ。

この辺りから縦横を気にしない変な張り方が生まれてきたかも。

 

 

 

ボールを飛ばす主役(ハイブリッドの目的)

打感に大きく影響を与えるのは横糸。その理由は糸の長さで、全てのラケットは縦糸より横糸の方が短い。縦横共ほぼ同じテンションで張るために、

負荷に対し短い方がたわみは少なく当然、ボールを受け止めはじき返す主役は横糸。

しかし理想を求めるなら、縦糸も反発に利用した方が「より良い」と考えるのは当然のことで、各社共横糸のグロメットに工夫をこらしたラケットが多いのは

そうした理由。

糸の種類を変える「ハイブリッド」も、縦糸にたわみが少ない糸、横糸にたわみの大きい糸を使用することにより、縦と横のたわみ差を解消する目的で

生まれたと。(この決まり事は、バボラ社のカタログにも明記されている)

 

しかし縦と横のたわみを合わせることは実際は大変難しい。理由は各ストリングのたわみ量が数値として公開されていないこと。最初は勘で決める

しかない状況。

当店でも縦ポリ/横ナチュラル、縦モノ/横マルチ、縦硬いモノ/横柔かいモノ等があり、その目的の多くは耐久性向上だが考え過ぎになる場合が多かったと

感じる。打感は良いが寿命が短い場合、縦を太いもしくは硬いストリングに変えて同じテンションでハイブリッドにすると、縦の性格が当然出るため

幾分硬くなるはず。それが度を越すと狙いからかけ離れた張り上がりになってしまう。ハイブリッドはテンションも含めて調整すべきと感じる。

 

 

 

ストリングの分類

実にさまざまなストリングが発売されています

略 称

正式名称

材 質

断面の構造

シープ

ナチュラル ガット

羊、牛の腸

細い繊維を束ねた構造

ストリング

(日本では ガット が一般的)

シンセティック ストリング

ポリアミド系

(ナイロン)

モノ フィラメント

マルチ フィラメント

ポリエステル系

モノ フィラメント

マルチ フィラメント

ポリウレタン系

 

マルチ フィラメント が多い

 

 

 

ナチュラル ガット(シープ) (天然素材で作られたもの)

羊の腸(シープガット)を素材として、繊維をより合せ1本のストリングに加工している。テンションロスが極少で、食付き感を持ちつつ反発力が高いため

愛好者が多いが5000〜12000円と高価。最近は牛の腸が使用されている。

 

ラケット性能の向上によりアマチュアのユーザーは少数にとどまっているが、プロでの人気は高い。水分が付着すると急激にテンションが低下し

使い物にならなくなる。特に日本の夏(多湿)はシープには適さないと感じる。雨が降りそうな時、海の近く、池等の付近、湿っているオムニ、

クレーコート等の使用は避けた方が無難。ボール拾いするときの自分の顔の汗にも注意。保管は必ず乾燥剤入りのビニール袋に入れた方が安全。

 

短寿命との噂もあるが最近の製品はコーティングも強く、管理に注意するだけでナイロンをはるかに上回る寿命を得る事ができる。

特筆すべきはテンション維持性で、3ヶ月程で10%ほど低下するナイロンに比べ、その低下がシープにはほとんど見られず、羊さん牛さんには

申し訳ないが正にストリングの為に在るような材質と感じる。

更に、ナイロンには無い特異な要素は高い摩擦係数。縦糸横糸の交差部が非常にズレにくくノッチが発生し難い性質もある。更にナチュラルは

ナイロンの様なメーカー差が少なく(材質と構造が同じ)、ゲージを合わせればどのメーカーの商品を選択しても後悔する可能性は少ない。

代表的なシープ: VSパワー・VSコントロール(バボラ)、ファーストブルー(サバレス)、チャンピオンシップ(ボウブランド)

注)某メーカーの商品にハイシープ、OGシープなる名称がありますが、材質はナイロンですのでお間違いの無い様に。

 

 

 

シンセティック ストリング(ナイロン、ポリエステル等の合成繊維で作られたもの)

材質としてポリアミド系(ナイロン)とポリエステル系、ポリウレタン系があり、断面構造で区別すると心材の周囲に数十本程度を束ねたモノフィラメントタイプと、

千本程を束ねたマルチフィラメントタイプがある。

 

ナイロン モノフィラメント(以下モノ)

現在の主流。太い芯材の周囲に細い繊維を巻いた断面を成す。非常に多くの商品が出回っており、硬く反発の早いものから、

逆に柔らかく食い付きの良いものまであり、外見から想像出来ないほど多様な打感がある。マルチと比べ反発率は低いが耐久性があり

テンションロスも小さい。

 

硬めのモノは、フラット系、ドライブ系、トップスピン系のスイングスピードが速いプレイヤーに向き、柔らかいモノは、手首を固定し押し出すスイングの

プレイヤーに向く。代表的なモノとして、ゴーセンのミクロスーパーが有名だが、このストリングは硬い部類になる。モノの価格帯は1400〜2300円と

安価でチタン配合、ワイヤー入り等非常に多くの種類が商品として発売されている。

 

最近の傾向として、マルチを使用していたお客様が柔らかめのモノに転向する場合が多くなっている。どんどん硬くなるラケットとの相性が良いのかも知れない。

ストリング性格の見分け方に関しては、パッケージの情報だけで硬い、柔らかいを見分けるのは不可能に近い。店員に聞いた方が良いが、

複数メーカーの商品群の序列を店員が把握しているかはちょいと疑問。

 

ナイロン マルチフィラメント(以下マルチ)

芯を無くし細い繊維のみ1000本程を束ねた断面を成す。軽い打球感でスイートエリアが拡大したような感覚が得られるが、

反発は意外に早い。肘への負担が軽減されるようでテニスエルボの人に好まれる。モノに比べテンションロス(張力低下)がやや大きく、

耐久性も低い。

 

最近流行りの軽ラケに合う傾向があるが、打ち方にも相当左右され、押し出すスイングの人には嫌われる。リストを使いボールをひっぱたくような

スイングの方が向くと思われる。各メーカーの軽量ラケットのカタログには、推奨ストリングとして自社マルチを掲げている場合が多いが、

あまり信用しない方が無難。

 

当初マルチは「ナチュラルシープに近いの打感を狙って作られた」と雑誌等に紹介されたことがあるが、ナチュラルを使うお客様の反応は悪い。

ナチュラルユーザーの方にマルチを張ると、明らかにインパクトのタイミングが合わない(反発が早い)状況が確認でき、逆に柔らかめのモノを

張った場合のほうが違和感なく、お客様の反応も良い。

これほどまでに雑誌の記載と異なる結果になるとは予想も出来ず、何を信用してよいのか・・(もう雑誌の記事は信用しない)価格2000〜3000円。

 

ポリエステル(ほぼモノフィラメント)

極めて耐久性が高くテンション ロスも小さい。今では世界のプロ(男女を問わず)の大半が使用していると感じる。使用感として、ストロークでは

違和感なく距離感が合せ易いストリングと言えるが、ボレーの難易度は増す傾向がある。 常にフルスイングする人もしくは短時間にストリングが

切れる人にはお奨め。当店の実績としてゲージ1.25のポリエステルは、代表的なナイロンモノの5〜6倍の寿命を有する。推奨テンションは、

ナイロンモノと比較すると5〜10%程低く設定する方が良いとされている。伸び方に特徴があるため、ナイロンと同様の張り方で張るとテンションロスが

大きく緩み易い。

 

使える寿命が短いとの噂も聞くが、多分張ったストリンガーに問題がある。 物理特性値では明らかにポリエステルがナイロンに勝る伸び難さがあり、

性格を生かすストリンギングなら確実にポリの方が寿命は長くなる。アマチュアで短寿命のストリングをプロが使うはずがない・とも思うし。相性としては、

重いもしくは柔らかいラケットが合うと思われる。

 

070911最近、ポリエステルと思えない大変柔かいストリングが発売されるようになった。過去、食い付き感はあるが飛ばない印象が強いストリングが

多かったが、その印象が変りつつある。価格は相変わらず割高だが、ナイロンに近い柔かさがあり、耐久性もある。

 

ポリエステル マルチフィラメント

商品としてはまだ少数でバボラ センシオ(旧シントロニック800PET)などがある。 もう廃番かな・・

 

ポリウレタン

商品としてはまだ少数だがW社(nxtnxt tour、spidex tour)、P社(premier soft frex16)、BA社(Xcel プレミアム)がある。ポリウレタン単独ではなく、

ナイロンマルチとの複合ストリングが多い。本来、ポリウレタンはゴム質であるため、相当柔らかい打感を想像していたが、使ったお客様のご意見は

硬い(多分反発が早い)。おそらく他の混ぜ物の影響かも。押し出す系のスイングの方には不向きで、引っ叩く系の方には合いそう。

 

070913ポリウレタン配合のストリングが各社(ウイルソン、プリンス、バボラ) 出揃った感がある。反発が良く食い付き感も高いとの声もあるが、

価格が高く耐久性も低い。ユーザーは女性に多く、その傾向は、インパクトでラケットを止める感じのスイングに好まれ、振り切る人には難しそう。

ストリングに使えそうな材質(ナチュラル、ポリアミド(ナイロン)、ポリエステル、ポリウレタン)がほぼ揃い、落ち着いてきた。

 

 

 

ゲージ(太さ)

市販のストリングの太さは1.1〜1.4mmの幅があり、この選択もテニスに影響を与える。一般的に細くなるほど反発力が高く耐久性には乏しくなるが、

飛びを優先した細目(1.3以下)のストリングに人気がある・・とは、今までの一般的な解説だが、最近ちょっと疑問に感じることがある。

 

最近のラケットは圧倒的に厚ラケ、硬ラケ(しなりの少ない=飛びが良い)が多い。それは力のある男性にとっては飛び過ぎの傾向もある。

以前の薄ラケ(柔らかい=飛びが悪い)なら飛びの良いストリングが合うと思うが、ラケット自体の飛びが良い現状では、逆に1.3以上の太いストリングの

ほうが良い相性となる場合もありそう。

 

今でも「ストリングは細くないと・・」と口癖のように言う方も多い。それは20年前の柔ラケなら理解できるが、現在の硬ラケットに当てはまるとは思えない。

昔は柔かい(反発の悪い)ラケットしか無かったので、反発の良い細いストリングが相性が良かっただけのこと。現在の反発の良いラケットに

反発の良い細いストリングは飛び過ぎる傾向があるし反発も早いので、固い打感になりやすい。

飛びを抑えるためにテンションを高くすると反発も早くなってしまう。今のラケットには太いストリングの方が相性が良いかも。

 

一般的に「細いほうが柔らかい」と考えがちだが、残念ながらストリングの世界はそう甘くない。硬さ、柔らかさの基本はやはりその材質にある。

材質をそのままに細くすれば確実に耐久性は落ちるため、混ぜ物を変える可能性が高い。一筋縄ではいかない。

 

 

 

硬 さ(性格)

ナイロン モノには他種にはない幅広い硬さ(柔かさ)の種類がある。一般的に硬いストリングは反発が早い分食付き感は少なく、柔らかいものは

反発が遅く食付き感がある。モノならどれでも同じだろうと同じテンションで張っても意外に硬かったり、柔らかかったりする。見た目で硬さは

判断できないが、パッケージの表記でおよその判断が可能。「パワー」とあるストリングは柔らかいか反発の早いストリングで、「コントロール」は

硬いストリングを表すことが一般的。但し、全てそうとは言えない。この辺が、数値で表現してほしい一番の要素と言える。

 

 

 

色と形状

好みを主張するお客様に共通することは、女性はストリングの色、男性はらせんの形状であることが多い。ストリングの色で圧倒的に多いのは白色系で、

その中でなら豊富な種類があり打感も選択の余地があるが、色を指定された時点で選択の余地が無く(有色の製品が少ない)、あとはテンションのみの

調整となり、非常に狭い範囲での選択肢しか無くなってしまう。ストリンガーとしては中身にこだわってほしいのだがそれを口に出しては言えず、

内心しぶしぶ受ける場合もある。

 

ラセン形状はスピンにこだわる人に多いが、それが真に良いのならプロも使用するはず。しかしその様なことはあまり聞いた事は無く、プロの多くは

ラセン以外を使用している。外観にこだわると、自分にマッチするストリングに巡り合えなくなる可能性があるので注意が必要。

 

 

 

価格は高い方が良い?

ナイロンに限っても1,000円から4500円ほどまであり、ナイロンマルチもしくはポリウレタン系が圧倒的に高い価格設定になっている。「高い方が品が良い」と

考えるお客様も多いが、打ち方との相性と価格は無関係。高いものばかりを張ると結果的に上記を使い続ける結果となり、打感の選択は

狭い範囲に限られる。もしかすると1,000円のストリングが一番合うかも。そうなれば、価格は安いが価値は高いものとなる。

 

 

 

ストリングの寿命

ナイロンストリングの寿命20時間(練習時間)と言われている。例えば毎週日曜日に2時間テニスをすると、1ヶ月で8時間、3ヶ月で24時間。

そこから張替え後3ヶ月という表現も言われるようにになったと・・。

 

たとえ45ポンド程の低いテンションであっても約20kgの加重で常に引かれている状態であるため、未使用であっても能力は確実に劣化の方向にあり、

更に打つ度に伸ばされるため打てば打つほどテンションは低下し反発力も低下する。

寿命は、練習時間によっても差が生まれるが、要は普通に打った打球がアウトしたり、インパクトの感触が微妙におかしいと感じるまでの期間を、

過去の経験値から算出したものと想像できる。

 

ナイロンストリングは気温の変化に敏感で、外気温が変化した時期に張り替えておけば理想的。高価なストリングを永く使うより、安いストリングを

まめに変えた方が体への負担は低くなる。と言っても女性にとっては、切れてもいないのに3ヶ月で張り替えることも勇気が必要です。

6ヶ月(夏、冬)を目安にすると良い。

 

ちなみにナチュラル及びポリエステルの寿命はナイロンより長く、ナチュラルは湿度に注意するだけで6ヶ月以上使用可能でき、ポリエステルについては

1年近く使う方も存在する。

ストリングの寿命は、張り方によっても左右される。雑な張りはテンションロス(緩み)が大きく、糸ズレも多くなる。緩むと飛ぶ距離も増し、

我慢できなくなれば張り替えとなるが、下手なストリンガーほど緩み易く、張替えのタイミングも早くなる。

 

 

 

ストリング選びの結論として

魚を知らない魚屋はなく、肉を知らない肉屋もいない。従ってストリングを選ぶときはストリンガーに聞くこと。あいまいな答えしか返ってこない場合は、

二度とそのストリンガーには近づかないこと。  ストリングを一番知るのはストリンガーのはずです。

 

 

 

 

 

 

テンション(張力)の概要

ずーっと昔からテンション(張力)で張ることが基本です

 

世の中に用具を使用する球技はさまざまある。野球(軟式、ソフトボール)、ホッケー、卓球、ゴルフ、バドミントン(球技と言えるか?)、ゲートボール等々。

一般的に球と用具は『硬い当たり』が普通。ゴルフ、硬式野球などはその最たる競技と言える。そのことは、人は硬い当たりを好むのではないかと想像できる。

 

小さいバドミントンのラケットでさえMAX30ポンドもあり、叩けばカンカンするほどの張りで使われている。

ところが硬式テニスの場合は、有名ショップでもユルユルの張りが多く見受けられ、素人が張っているのではないかと思うような場合もある。都内には

上手なショップも多いが、それ以上に下手なショップも多いと感じるし、地方の場合は更に下手が多く、おそらく世の中で一番ばらつきの大きい業界と言える。

 

 

 

テンション(張力)

テンションとはストリングを引く強さで、単位はlbs(ポンド)で表す。( 1 lbs=0.45 Kg )60 lbsの場合、ストリング個々を約27Kgの荷重で引くことであり、

60lbsがマシンの設定値になる。最近はSI単位(国際標準)への移行に伴いKg表記に移行する方向にあり、併記されているラケットも多い。

 

注)お客様が「テンションを指定する」とは、ラケットの張り上がりの状態を指定することではなく、ストリングマシンの設定値を指定することを意味する。

 

テンション値はテニスに大きな影響を与える。基本的にテンション値はスイング スピードと密接な関係があり、フラット系ならばスイング スピードの早い人ほど

テンションは高く、スピン系ならばスピン量が多くなるほどテンションを低くする必要がある。そのためか、フラット系の女子プロの方が男子プロより

高いテンションで張っているという報告もある。

 

「自分のテンションは〇〇lbs」と決めているお客様がいるがそれは大きな間違い。ラケットを替えたとき、ストリングを変更したとき、

球種を変更(例 フラット系からスピン系へ)したとき、上達するにつれテンションの見直しが必ず必要。

 

 

 

適正テンション

ラケット個々に定められ、主にスロート内側に明記されている。(例50〜60lbsもしくは55±5 lbs)ラケットの設計性能を100%発揮させる為に適した

テンションとしてメーカーが推奨する範囲

 

ハイ テンション(適正テンションの上限)

ボールの飛びが抑えられコントロール性が向上するが、オフ センター打撃での面ぶれが発生し易くスイートエリアが狭くなったような感触がある。

スイング スピードの速い人及びフラット系のプレイヤーに向く

 

ロー テンション(適正テンションの下限もしくは以下)

良く飛び楽な印象があるが、コントロール(方向、深さ)の調整が困難になる危険性がある。スイートエリアは拡大する傾向があるがボレーの打感が重くなる。

スイング スピードの遅い人及びスピン系のプレイヤーに向く。

 

しかし適正テンション値は、あくまで参考値程度にとどめるべきと感じる。国内向けラケットの適正テンションはおそらく日本人男性の平均値を狙って

設定されるはずで、平均値から差異がある人は当然上か下かにずらす必要があり、女性は更に調整が必要になるはず。但し、適正テンションの

最大値を超えることは、フレームを破損する可能性もあるのでお奨めできない。

071026最近のラケットの適正テンションの数値を見ると、異常に高く指定している場合もある。

 

一般に適正テンション値は、ラケット面が大きくなる程高く、軽いラケット程低く設定される。テンションは高すぎても低すぎても悪影響があるので、

自分の打ち方とラケットに合ったテンション値を早く見つけることが重要で、ラケットを買い換えたりストリング種類を変えた場合にも見直しが必要。

 

ラケットの適正テンション値は国籍によっても異なる。輸出先の国民の体格、筋力に適性テンション値を合わせるのは当然のことで、

欧米向けと日本向けでは、欧米向けの方が適正テンション値は高い。しかし、ラケットメーカーとしては輸出する国別に適正テンション値を変えて

製造することは面倒。その為、ラケットの適正テンション値は変えずに、その国向けのカタログに正しい適正テンションを明示しているメーカーも多い。

 

そのことは男女差についても言える。同じラケットを男性も女性も使う場合があるが、男性の場合の適正テンション、女性の場合の適正テンションと表示している

ラケットは見たこともない。ストリンガー任せなのだろうか。

最近感じることだが、低いテンションで使用しているお客様に面ぶれを訴える方が多く、同時に手首、肘、肩に障害をもつ場合がある。「障害がある場合は

テンションを低く」と言われているが、度を越したローテンションは、逆に筋肉疲労を増し、結果としてテニスエルボが悪化する可能性が高い。

 

ロジャー・フェデラー選手のラケットのテンションは50lbsとか。おそらく対戦相手、サーフェースで調整しているとは思いますが、意外に低い。

 

 

 

テンション ロス(張力低下)☆

どんな材料(例えば金属のワイヤー)であっても荷重もしくは張力を掛け続けると変形(伸び)し、その変形が張力を低下させる原因となる。

ラケットに張られたストリングも例外でなく、どんなに上手なストリンガーでもグラフ(下図)のように必ずテンションは下降する方向に向く。

 

問題はその傾きであり、下手なストリンガーほど傾きは大きく、すなわち緩み易いことになる。ストリングを長く使い続けることは、初期値との格差が

拡大するなかでのテニスでおのずと限界があり、無意識のうちにフォームが変わる危険性がある。

 

 


テニス・コンピューターERT700取説より引用

 

このグラフから、張上げ直後は急激にテンションが下がり(初期伸び)、非常に不安定であることが解る。左端の急降下部の長さは経験12時間程度

思われる。よく試合会場の移動ショップで張替えしているが、このグラフからは張替え直後の時間帯は試合には適さないと言える。

 

どのような張り方をしてもこの傾向は変わる事は無く、安定した条件の中で試合をしたければ張上げてから少なくとも丸一日は放置すべきと感じる。但し、

ナチュラルストリングはこの傾向が微小であり、上記の指摘はあてはまらない。

 

 

 

プリ・ストレッチ

あまり聞き慣れない言葉だが、事前にストリングにテンションをかけて初期伸びを取り去る行為を言う。プリ・ストレッチしたストリングで張上げたラケットは、

テンションロスが少ない分、高いテンションを維持することになり、プレイ中のテンション ロスを嫌うプレイヤーに好まれる。但し、現状の

プリ・ストレッチのマニュアルはまだ確立されておらず、その為ストリンガーによってプリ・ストレッチの程度が異なり、張り上がりに差が生じる可能性が高い。

 

 

 

横糸テンションの指定

ラケットフレームには張上げ終了時で800kg程の応力が加わる。横糸のテンションは、縦糸のテンションに対し形状のバランスを取る為に

ストリンガー独自の掛け方があり、縦のテンションを指定した時点で自動的に横のテンションも決まるのが普通。あえて横のテンションを指定すると、

フレーム形状に問題が発生する危険性がある。

 

 

 

 

張上げの検証

 

テニス コンピューター ERT700(ゴーセンGA-52)

 

張上げの状態を検証する方法として、以前は「面圧測定器」しか無かった。  しかし現在ではテニスコンピューターが販売され、日本ラケットストリンガーズ協会でも

使用され更にプロ選手も使用している。

 

同機は、負荷に対するたわみ量を測定する面圧に対し、共振(多分)を利用しテンションを表示するため、非常に簡便で精度も良い。  各ショップでこの機器の使用が増せば、

ショップ差は相当少なくなると思うが、残念ながら現状は少数に留まっている。

 

 

 

結論として

ストリングとテンションの選択はテニスの何を決めるのか。 一言で言うなら、『ボールとストリングの接触時間(インパクトタイム)を決める』と言える。

硬いストリングを選んだ場合、インパクトのたわみが減少、インパクトタイムが短く、反発が早い(硬い打感)となり飛びが少なくなる。  (テンションを上げる場合も同様)

テンションを下げればインパクトタイムが増し柔らかい(食つき感が長く)打感になり、飛ぶようになる。

 

打感はストリングとラケットの性格とを合成した結果となる。  もし、ストリングの硬さが数値で表されていたら、以下の式が成り立つのでは・・。

打感 =ストリング硬さ*テンション値

 

ラケットの要素も加えると

打感=ストリング硬さ*テンション値*フレーム硬さ*ストリング数/フェイスサイズ   (相当いいかげん・・です)

 

 

 

 

以前の記事

 

SIGNUM PRO  FIRESTORM 125 2020/11/03 

IKIさんとの取引も約20年。 扱うシグナムプロも新しいポリが次々と出る。  新ポリを入れるのは良いが、お客さんに薦める際は自分でも使っておかないと

不安でしようがない。

どのラケットで張るかが一番の問題で、さすがに常用の85インチには張る勇気がないし、85インチの打感を説明してもお客さんには役に立たないので、

あれこれ探した挙句、ロシニョール アグレッサー 102インチ 16/19  100インチ前後の手持ちはこれしかない・・ テンション52lbsで。

 

このマシンは予備機

 

張上り。  IKIさんの宣伝 ん、シグナムプロか・・ FIRESTORM 125 (ファイアーストーム)  チラシはマッテオ・ベレッティーニ 俳優さんみたい・・

 

引いた感じはかなり柔らかい。 色も渋くて好き。 測定値は、張り上げ約2時間後48lbs、約12時間後も48lbs。 ポリは比重の関係なのかどうしても2lbsほど低めになりますね。  

ナイロンなら50〜52lbsが出るはずなので、その意味でもポリはね・・・引く時間にいつも悩む。 もっと長くしておけば・・でも18秒は長いし・・ 既に18秒で使ってるお客さんも

いるし・・て感じ。

ポリも張上直後はよく飛ぶので、すこし長く使わないと本来の性格は判らない可能性がありますね。

 

 

 

タテかヨコかの結論 2020/10/30

かなり衝撃的なラケットを発見しました。  昨日、たまたま張り替え依頼のウイルソン FIVE BLX 103インチ 

↑トップとブリッジはごく普通のグロメット。 ところが、

 

なんと 横糸のグロメットが長孔の中を動く!  指で押すと止まったまま。 オートマ車のシフトレバーみたい・・

 

外はこんな感じ。  半球状の受けがあるのか、いやはや、もう機械ですね。  そこまでヤル?と言いたい。

 

ウイルソンさんは、横糸を動かそうと必死です。 こんな複雑な構造にする位なら、他社さんのテーバー形にすれば?と思うのですが、特許の関係なのか、

単にパクりたくなかったのか・・  この状況でタテが主役なんて言ってしまったら、ウイルソンさんの努力が水の泡。

 

交換用のグロメットが高そうですが、これでもうヨコが主役の結論で良いですね。  理屈も、お客さんの感想も、ウイルソンさんの情熱も全てヨコ

他のメーカーさんも同じですが、タテにはまったく気を使っていないことは明白です。

 

なのに何で、何とかチョイスなんて組み合わせのストリングを販売してるのかの矛盾。 

 

 

 

タテかヨコか 2020/10/20

打感の主役は縦糸か横糸か・に関し当方の主張 1.長さの短い横糸がたわみは少なく当然、主役  2.ハイブリッドのお客様の感想も同様に横糸・の二つ。

しかし、まだ縦糸が主役と考える方も多いようなので、ラケットメーカーの指向をカタログから読み解いてみました。

カタログは主に雑誌 スマッシュのザ・テニスカタログより抜粋。

 

まず、老舗のウイルソン 2001年

ご存知のローラーは横糸に取り付けられている。 縦糸のローラーは見た事がない。

 

 

同じく2001年  フォルクル

わかり難いが上下は通常のグロメットの凸が確認できるので、左下図のテーパー構造はフレーム横。 確かヘッドにも、似た構造のグロメットがあったと記憶。

 

 

2002年 ブリヂストン

これも左下赤丸の構造は、フレーム横に付いている。

 

 

同年 バボラ

有名なウーハー構造も、横とは書いてないが横糸のグロメットを強調する画像。  ラケット以外にも、ポリとナチュラルのハイブリッドのパッケージ裏には、

ナチュラルは横と表記されている。 ナチュラルの打感を得たいのなら横に入れてと。 横糸が大事という意味ですね。

 

 

2003年 ダンロップ

これも横糸が何かをしてくれそうな画像。

 

 

同年 ウイルソン

孔をスリット状にして、横糸の有効長を広げたい意図が。  張替えがやり難いのです。 内側から外に横糸を出す時、見えないから何度もツンツン。  

 

 

2007年 ダンロップ

赤丸部は横糸ですね。 文字の位置で判る。 横糸のグロメットに何か工夫をしているようです。

 

 

同年 プリンス

はっきりとヨコと書いてある。 O3は基本、横糸が長孔ですね。 逆もあったと思いますが明らかに少数で、 横糸のO3構造が大多数。

 

 

各ラケットメーカーさんは、2000年頃から横糸を意識してフレーム形状を変更したり、グロメットを工夫していることは明白。  横糸に何かをすると球速が

上がる、飛びが良くなる・を経験しているのだろうと。 張り替え20年の私の経験の中でも、縦糸に何かの工夫がなされているフレームは見た記憶がない。

打感に影響しない糸を工夫しても意味がありませんので、メーカーさんも横糸が主役・と認識している証拠です。

 

もう一つ、少し前に流行したいわゆるSラケの基本構想は、横糸の数を減らすことで食い付き感を増し、スピンを・・・ これも、打感の主役は横糸と証明。

ん、縦糸をズラす目的だった? お奨めはしませんが・・

 

通常(縦横同じストリング)の張りであれば、タテヨコは気にする必要はないですね。  しかし、ハイブリッドを検討する場合、どちらにどのストリングを入れるかが

打感を左右する重要なポイントですので、横が主役と理解した方が安全です。 

 

もう一つの考えとして、縦も飛びに参加させたい・ならたわみの理屈でいえば縦に固い、横に柔らかいストリングで均等の方向にはなるのですが、それを

検証する手段はありません。 が、好ましい方向とは言えると思います。

アガシ選手の縦ポリ、横ナチュラルでハイブリッドが広まったと記憶していますが、それなら理屈には合うな〜と感じておりましたね。 ヘッドさんの真意は

判りませんが。

 

 

 

テニス雑誌のストリングのレビュー(評価) 2020/10/14

これも信用できない。 私が痛い目にあったのはナイロンマルチ発売の初期レビュー。 「柔らかい」という評価が営業開始当時の私の頭に残り、

営業で薦めるときも柔らかい・が前提。 ところが現実は、かなり固い(反発が早い)部類だった。 判ったときはもう唖然・・ おそらくレビュー時の張りが

緩かっただけだと。 

 

宣伝兼ねてのレビューであるため、悪い評価は載せるはずもないが、 そもそも、評価前のラケットのテンションを測定し値を載せている記事は見た

記憶がない。  何ポンドで張り、試打直前で何ポンドだったのかが重要。 つまり何ポンドのラケットで打った感触が〇〇です。と書くのが正しいはずで、

それなくして評価とは言えない。 測定器も色々あるはず。

 

どのラケットのどのストリングが何ポンドだったのかで打感は大きく変わる。 ある条件でこうだったと評価しなくては、何の役にも立たない。 固いストリングも

テンションが低ければ柔らかくなる。  良いことだけ書いて、売れれば良い・ではレビューにならない。

 

最近はポリのレビューが多いと思うが、下手が張るとポリは緩み易い。 当然、評価は「柔らかい・飛びが良い」になるので、測定値が無いなら鵜呑みに

しないほうが良いです。 

 

 

 

ナイロンストリングの性格 2020/9/17

使ってみたいけど選べない方への目安として、あくまで当方の主観に基づく分類。  一応、5段階に分類してみました。 種類が少な過ぎで申し訳ないで

すが、無いよりは良いかと。 

 

「固い」は、張るときに伸びが少ない。 「柔らかい」は、よく伸びる感触が手に伝わる。 それは取りも直さず、インパクトでも同様ではないかと考えています。

張った感触、打った打感、お客様の感想等を個々に抜き出しての評価。 打ったことがなくても、張った感触が伸びない・・と感じれば固い部類に入れています。

当然ですが、時間張りでの主観です。

 

 

1  Go ミクロスーパー16、 Go ミクロ17、 P ライトニングXX

2  ナイロンマルチ系はどれもおそらくこの位置(飛びは良い)、 Te シンセティック17 

3  Fo コンペティション16 固くもなく柔らかくもない感じ  Go レクタングルZ、

4  Go ミクロ16、 Ba N.Vy130、 

4.5 Te シンセティック16(S・Gut16)

5  Fo コンペティション15L 

Go:ゴーセン、 P:プリンス、 Te:テクニファイバー、 Ba:バボラ、 Fo:フォーテン、 To:トアルソン)

 

その昔、Go ミクロスーパー16が定番と言われる時代がありました。 定番の理由その1 面サイズOSが多い その2 柔らかいフレックスのフレームも多い。

いわゆる薄ラケ全盛時代。 張りも、バネ式の固く張れない張りが多いので三すくみで柔らかくなり、柔らかさを打ち消す意味で固いミクロスーパー16が

好まれたのではないかと。 現在は100インチが主流で、当時と比較すれば固いフレームが多い。 なので、スピンを打ちたい方には固いストリングは辛い

かもしれません。

 

ストリングは細い方が良い・・と掲示板等で書き込みが多いですが、それは上記薄ラケ時代の話。 今のお奨めは130(16)。 同じ名称でも125(17)はかなり

固くなることが多い。 130と125は別モノと考えた方が良いです。 より固くしたいのなら125(17)も良いかと。 私の

現状は、85インチはFo コンペティション16で決まり。 気分転換の95インチは、Go ミクロスーパー16が合うことが最近判りました。 共にテンション50lbs前後。

当分は、これでいけそうです。 

 

正直85と95は、フレームを比べるとほとんど差は無いように見えるのですが、糸ピッチなのかフレックスなのか原因は不明ですが、ストリングを大幅に

変えないと打感は合いませんでした。 面サイズ10インチ差は軽視できないですね。

 

 

 

スナップバック?スライドバック? その3 2019/2/1

名称はどっちでも良いが面白いことに、それらを証明するテニス雑誌の記事を見ると、ほぼ別施設での再現試験画像を掲載している。  しかし、その現象が

現実に存在するなら、プロの試合中のインパクト画像に山ほどあるはずなので、それを探した方が楽でない?の素朴な疑問がある。 その方が安上がりの

はずだし・・

 

まずスナップバックとやらが、トッププロの中で存在することの証明が先。  この選手も・・あの選手もズレてる・・その理由は・・・と展開することが普通だが、証拠が何もなく

いきなり別施設で“ズレてる”は、胡散臭いこと甚だしい。 

 

その発想の発端は、プロは何故強烈なスピンが打てるのか・・のはずで、ポリはズレて戻るから掛かるのだろう・・だったはず。  スピン系を打たないプロなど

ほぼ皆無の状況で、記事の内容が正しいならポリを張る全てのプロはスナップバックしているはず。  それならプロを少し探せば画像の百や二百はあるはずだが

何故、わざわざ再現試験をするのだろうか。 

 

その理由は簡単で、プロの画像にスナップバックとやらの兆候があまり見当たらないので、コート外のやらせ試験で無理やりズレた状態を作り、如何にも持論が

正しいかのような結論にしたい・・らしい。

 

“スナップバックはある”と主張したいなら、ポリを張るプロ全員のインパクト画像を統計しデータで証明してほしい。  しかし少なくともフェデラー、ナダル両選手は、

超スローで見てもその兆候は見当たらない。 テニスのインパクトは5/1000秒と言われている。 その間にズレて戻る? 直感的にあり得ない。

 

もしスナップバックが存在するなら、この選手は必ずあるはず・の代表格 ナダル選手。

 

どこから拝借したのか忘れた画像・・ラケット面はやや下向きなので球種はスピン。  余裕のある状態での一打と感じるが、ストリングがたわみボールがかなり

変形しているにも関わらず、ズレてる様子はない。  スピンの代名詞であるナダル選手に無くて誰にあるのか・・

 

そもそも、ストリングを縦横交互に編む理由はズレ難くするため。 当然、ズレると自然には戻らない。  スピン系を打つ方なら日常的な話。  それは、縦ストリング

さんは自力では戻れない、戻る力はない・の意味。  にも関わらず、ボールに回転を与えつつ戻る?なんてあり得るはずがない。  横糸との摩擦にうち勝ち、ボールに

回転を与えて戻るエネルギーはどこから来るのか。 仮に戻ったとしても、ボールが離れ負荷が減少した時点のはずで、ボールに回転を与えるヒマはない。

 

ズレて戻したいなら交互に編まなければ良い。 ズレ感MAXになる。 但し、ルール上は試合には使えないし、気持ち悪い打感になるはず。  ポリはズレ難いから

好きというお客さんも多い。

 

100歩譲ってスナップバックが現実にあると仮定して、1打打つ度にズレて戻るなら耐磨耗試験をしている状態のはずで、耐久性が売りのポリといえどすぐに

切れるのでは?  プロなら1セットはもたないような気がするが。  当然、磨耗が進行すれば摩擦が増しズレ量も減る。  するとスピン量も少なくなるはずだが、

プロは変わらず打っているように見える。

スナップバックしないナイロンの方が耐久性が高い・・なんておかしな結論になりそう。  更に、ポリのスピンガットと言えば多角形が多いが、縦横のエッジ同士が

当たればズレ難くなる。

 

張っている側から言わせて貰うと(以前にも書いたが)、張り上がり後の糸揃えは、ポリよりナイロンの方が遥かに楽。  ナイロンの方がよく動くことはストリンガーなら誰で

も知っている。  ポリは1本動かすにも指先が痛くなるほどで、ボールと接触する4〜5本が同時に動いて戻るなんてあり得るはずがない。  ポリがズレ易いなど

とは妄想も甚だしい。 

 

結論として、逆立ちして考えてもスナップバックの理屈は矛盾だらけで現実には合わない。  信用して道に迷ったアマチュアも多いと感じるが、どう責任を取るのだろうか。

 

テニスの基本で言えば、スピンは打ち方で掛けるが当たり前。   ポリに頼ってスピンを掛けているプロなどいない。  印象の違いは、打ち方が変わったために

素人さんには今までとは異なるスピンに見えるだけ。  言葉は悪いが、素人の思い付き・と感じざるを得ない。   テニス界を論文のネタ場にすることは止めて頂きたい。 

どこからかパクることは無いと思うけど・・腹立たしい限り。

 

 

 

ボールを飛ばす主役その2 2016/04/28

最近、某テニス雑誌に、打感の7割はメイン(縦)が担うとかの記事が掲載されたが、これほど迷惑な記事もない。何故かといえば、例えば円形の

フレームがあったなら打感は縦、横半々(5割づつ)で担うことは感覚的にも疑う余地がない。しかしラケットの多くは、メインのストリングが長くクロスが短い。

短い方がたわみは少ないことは直感で解りそうなもの。

 

切れるのはメインなのでメインが主役・・と勘違いすることが多いようだが、横糸に擦られて切れるだけで、飛びの主役を担って切れるわけではない。

バボラ100インチで糸長はメイン320mm、クロス250mm。その差70mmはメイン長の20%以上にあたる。 しかしテンションは、メイン50lbsなら

クロスは低くても47lbs。その差3lbsは6%しかない。 短い割りに硬く張っているのがクロスであるため、クロスが主役で反発していることは明白。

 

もし何かしらのテストの結果上記の結論が出たなら、使用ラケットのクロステンションが極端に未達だった場合が予想されるが、適性な張りならありえない結論。

何か別の意図がありそうな気もするが、直感で??と感じる内容なら、まず検証した方が雑誌の信用は高まると思うが。

 

 

 

スナップバック?その2 2013/02/08

ポリエステルはインパクトでズレ、それが戻る際にボールにスピンが掛かることをスナップバックと言うらしい。しかし、この理屈は非常に違和感がある。

ストリンガーなら誰でも張り上がりの糸を揃える作業があるが、ポリがズレ易いと感じたことは一度もない。特に18/20に至っては、クロス1本を動かすにも

指が痛くなるほど固い。

ボールは必ず縦4本程のストリングに接触するはずで、4本同時にズレ、同時に戻るとは到底思えないしそもそも、ボールに回転を掛けるほど瞬時に戻る

などとは到底考えられない。単に糸揃えの作業なら、明らかにナイロンの方が楽。

更にスピンという球種は、ポリエステルが誕生するはるか以前からプロもアマチュアも打っている。ポリエステルとスピンを結びつける根拠は無い。

 

ポリエステルが発売された当時プロで広まった理由は、寿命が長い・と打感が安定・の二つのはず。プロならスピンは支障なく打つはずで、ポリを張る

目的はスピンが目的ではなかったはず。

更にポリユーザーには、ズレが少ないという理由で使う方も多い。ポリがズレ易いという話は、どこを探しても見当たらない。

 

最近、横糸を極端に少なくしたフレームが発売されたが、横糸が少ないフレームはストリングのたわみ量が増すことは明らかで、結果としてスピンが

掛け易くなることはある。しかし、縦糸がズレて戻らなくなり更に、ストリングの寿命が相当に短くなるので慎重に検討した方がよい。

 

この手の都市伝説に飛びつくのはスピンが苦手の初心者に多いが、用具に頼っても安定したスピンは打てない。まずは疑って掛かる方が良い。

 

 

 

最近のポリエステルの傾向 2013/03/18訂正

最近、お客様の持ち込みでゴーセン エッグパワー17を張る機会があったが、驚くほど柔らかい。ポリスターのエナジーに近い印象。

多分、新発売のポリエステルの傾向とは思うが、乗り感が強く球離れが悪い為にスピンは掛け易い。スピンが苦手な人には好評かも知れないがそれは、

腕の負担は増す方向であることは間違いがなく、ストレッチの励行が欠かせない。

 

しかしあるお客様は新しいポリを使い、明らかに異なる打感に困った様子。 新しい=柔らかいと断言できないものもある。10年前のポリは、

概ね性格の傾向がはっきりしていたが、新しいポリはより広い方向を向い作られている印象があり、従来のポリに慣れた方には失敗する危険性が

高くなっていると言える。

 

 

 

ゲージ その4 2012/01/08

最近、ゲージでおや?と感じることがある。それは、同じ名称でゲージが異なるナイロンモノ2種を打ち比べると、細い方が反発が早い(硬い)。

例えばゴーセンミクロ16とミクロ17では明らかに17が飛びは良いが反発が早く固い感じ。当方の張りの特徴なのかは不明だが、

細い方が延びる=柔らかい・・の予測は外れているような気が。テクニファイバーのある品種でも同様の感想がある。

 

ゲージが細ければ切れ易くなる為、細いゲージほど固くしている可能性が無い訳ではないが、同じ名称であれば材質を変える事は考え難い。

“細い方が柔らかいはず”という説明は、大変言い難い状況になったことは明らか。

 

 

 

縦糸が戻る? 2011/04/09

テニスの業界には相変わらず根拠のないデマが飛び交っている。最近目立つのがスピンに関する話題。

例えば@縦糸がボールに押されてたわみ、それが戻ることでスピンが掛かる Aボールがストリングの上を転がりスピンが掛かる・・等。

@       はストリングが無い球技では回転は掛からない・という意味になるが、ゴルフでも野球でも問題なく回転が掛かる。曲げたくなくても曲がるのが

A       ゴルフで回転している証拠。Aはそれが事実ならボールは滑り落ちるだけで、前に飛ばない。

 

溺れかけている人に、役に立たないわらを投げる人間がテニスには多い。そんな環境にいる若者が上達する訳もなく、打ち方を覚えることより

ストリングを探すことに汲々とすることになる。

 

 

 

ポリエステルとブロックボレー 2010/11/06

ブロックボレーにはストリングのたわみと反発が重要だが、ポリエステルはご存知の通り反発が少なく飛びが悪い。ラケットを振り回すストロークには

良いかも知れないが、ボレー初心者がポリエステルを張ると、飛びが悪い分ラケットを引いて振り出すスイングボレーの傾向が強くなり、

他のボレーを覚える障害になる危険性が高い。

 

アングルボレー、ドロップボレーはブロックボレーの応用形であり、正しいブロックボレーが出来ないと習得が困難になる。

ほとんどの方はストロークに合わせてテンションを決めるはずで、ストロークは良いがスイングボレーしか出来ない・では上達の見込みが薄い。

今はポリエステルを張ることが流行のようだが、ボレーを習得したければナイロンに戻すことも一手。ブロックボレーが覚え易くなることは確実。

 

 

 

ゲージ その3(yahoo知恵袋ネタ) 2010/02/24

「細い方がスピンが掛け易い・・」と相変わらず似たようなご意見が多い。35年前ならそれは正しい。当時のストリングは天然のナチュラルか生まれた

ばかりのナイロンモノフィラメントしかなかった。ナチュラルはメーカーが違っても当然、全て同じ材質(牛の腸)であるため細い方が伸びる、

飛びが良い、食い付き感も高い・で正解。

出たばかりのナイロンは種類も少なく、硬く飛ばないものが多かった。ならば細い方が飛びは良い・が正解。だが現在では?なコメントとしか言えない。

 

一言でナイロンモノフィラメントといっても、歴史が長い分種類(性格)が大変に豊富。、配合により硬いものから柔らかいものまで実にさまざまあり、

更にポリウレタン等の伸びる素材を混ぜた大変飛びの良いものもある。ゲージだけで判断してしまうと、合うストリングを見逃すことになりかねない。

ゲージよりもその性格で使い分けてほしい。

「細い方が・・」のコメントは多分、ベテランの方が広めていると感じるが、ストリングの現状(技術の進歩)を無視した的外れのコメント。

いいかげんに目を覚ましてほしい。

 

 

 

ストリングの新商品090816

また新しい材質が発売された。今度はポリエチレン(PE) ドイツ ポリファイバー社 ポリファイバーTCSというストリング。単張り価格2625円。

ゲージは1.25と1.30 ポリエチレン+複合素材 商品説明ではポリエステルより柔らかく、弾力性が高いとのこと。それならポリアミド(ナイロン)に

近くなると思うがどうなのだろうか。

これから単にポリと呼んでは間違う可能性がある。フルネームで言わないと混乱・・

 

最近発売されるポリエステルのストリングは形状にこだわりがあるのか、六角、八角、三角と形状が多様になってきた。他にネタが無いとも言えるが、

最近のスピン化に乗って各社生き残りに必死。

 

 

 

どんなラケットでも090225

プリンス、ドネー、トアルソン、ロシニョール、ダンロップ等色々。重さは6のみ330gで残りは340g前後。面サイズは1から4は110〜107、5と6はおよそ100、

7と8は95SQ、in。新古色々ですが1は20年物。5.6で15年物、7.8で7年位かな。フレームの硬さも色々。1と2はお休み中ですが全て私の現役ラケットで、

その日の気分で使い分けています。メーカー別はともかく面サイズが違い過ぎで、普通なら混同使用はしませんね。「変人」とか「節操がない」とか

「変わり者」と言われても・・否定はしませんが。

 

これらはラケット毎にストリングとテンションを変え、近い感触で打てる様に張っています。ストリングは硬中軟3種類、テンションは1が57lbs、7は

48lbsと幅があります。当然適正テンション外も。

何を言いたいのかというと、“ストリングとテンションを調整すれば、使えないラケットは無い”です。ただし、初回の張りでぴったり合ったラケットはありません。

一応狙っては張るのですが、柔過ぎたり、硬過ぎたりで2回目で調整。7は一番苦労し4回ほど張替えしてやっと良い感じに。色々なラケットが使えることは

実に楽しいです。

 

ラケット変えた場合、“最初の張り”が本人に合う可能性は少ない。硬い、飛ばないならテンションを落とすか柔らかいストリングに。その逆に柔らかい、

飛び過ぎならテンションを上げるか硬いストリングに張り直しをして、自分に合わせる作業が必要です。大事なことは、合わないラケットを「もったいない」と

いう理由で使い続けるのではなく、早く張り替えること。理由は、合わないラケットが打てる様になることは、打ち方が変ったということです。

本来の良い状態に戻しても、逆に合わなくなる可能性があります。

 

 

 

皆さんの肘は大丈夫? 090107

フォアストロークをスピン系で打つ方が増えている。当然飛ぶ距離は短くなるために、飛びの良い、食い付き感が良いストリングが好まれる。

テンションも緩めとなるが、それは全て肘の負担が高くなる方向であり、テニスエルボになる可能性が高くなる。対策はコネスピンを止めるか、

まめにストレッチをするかしかない。

 

 

 

ゲージ(太さ)その2 080715

常連のお客さまから「硬くて飛ばない」とのクレームがありパニックになった。いつもと同じストリングで同じように張っているのに・・  ストリングマシンを

チェックしても異常は見当たらない。原因が解らず頭をかかえていたが、ふとストリングの太さを測定したらなんと0.04!も太くなっている。

規格は1.30で平均1.32が入荷していたはずが、問題のロットは1.36。

 

急ぎ代理店に別なロットを要求したが200mロールは全てダメ(1.36しかない)。とりあえず単張りの中から選別して入手し、同じロットで張ったお

客様の無償張り替えを済ませた。1ヵ月後に新ロットも入荷しやっと落ち着いたが綱渡り状態で、これほど緊張した状況も初めて。

それにしても、たまたま手元に測定器(マイクロメーター)があったから判ったが、無ければ今も悩んでいたかと思うとゾッとする。以後は全数ゲージ測定値の

記録を開始することにした。

 

 

 

訂正 ナイロンの吸水性071108

以前、「ナイロンの吸水性はありません」と書きましたが訂正します。色々な資料を見ると科学合成繊維の中で、ナイロンは吸水率が高い部類と分りました。

以下YGKよつあみ社(釣り糸メーカー)Hpより抜粋。

『一般的なナイロン素材の場合、20℃の真水に24時間漬けておくと2%弱ほど水を吸い込んでしまう。釣糸にもよるが、10時間真水に漬けていた場合、

5%ほど強力(引っ張り強度)が低下してしまうのだ。(中略)

 

紫外線による、強力の低下もナイロンの弱点。紫外線を連続10時間照射すると強力が50%程度低下する。』

ラケットの場合、1分でも水に漬けることは無いはずですので、少し水が付いた位では心配しなくても良いはず。しかし“紫外線”については問題ありそう。

練習量の多い方なら“10時間”は2週間位で達するはず。休憩中にフェンスにラケットを引っ掛ける、立て掛けることは避け、日陰に置くとかケースに

入れる等なるべく直射日光に当たる時間を減らす工夫が必要かと。

 

 

 

こんな物も071016

商品名、バボラはエラスト・クロス、トーナはトーナ・クロス、ウイルソンはストリング・グライド。使い方は、ストリングの交差部に差し込むだけ。目的は、

ストリング同士が擦れ合って磨耗するのを防止します。比較的短時間(1〜2ヶ月)にストリングが切れる方にお薦め。「スピンが掛け易くなるから」との

話も聞きますが、それはあまり期待しない方が・・

テンションが上がる方向の為、最初から入れ過ぎないこと。高価なナチュラルに使う方も多いです。

 

トーナ・クロス

 

張替え直後はそのままある期間使い、縦糸が磨耗し始めた部分に入れるとムダが無い。緩みも回復して良いかも。

 

 

 

テンションを変える071002

「硬いなー」とか「柔かいなー」と感じたら、“2 lbs(ポンド)を目安に”上げ下げしてください。1 lbs差は微妙で、逆に3 lbs変えるとかなりの変化になります。

特に下げる場合は、以前のテンションに打ち方が慣れている為、3 lbs下げると飛び過ぎになる可能性もありますが、大幅に変えたいならOK。 

時間が経過していたら必ず緩みが出ているはずですので、その分を考慮してください。同じストリング、同じテンションで張っても張替え直後は硬め

に感じます。 1〜2週間後の感触を基準に決めると良いです。

 

 

 

初心者用のラケット その2 071002

通常、自分の打ち方に合わせて(打ち易いように)ストリングとテンションを決めますが、逆に、既に張ってあるラケットを初心者に使わせると、そのラケットに

合わせて初心者の打ち方が決まります。(使いこなそうとする為) なるべく早めに使う本人に合わせて張り直すことが良いのですが、切れるまで長時間使うと、

打ち方(フォーム)が固まる可能性があります。(緩いストリングの場合は、打点が遅れたまま固まる)大人の筋力があってやっと使えるラケットも存在しますので、

初心者(特に子供用)にはご注意ください。

 

 

 

ストリングの寿命070926

1年以上使うお客様がおられます。張る方にとっては永く使ってもらえたのは嬉しいことですが、反面困ったことも。(商売にならんなーの気持ちも少し) 

 一般的には3ヶ月、他店はその位で緩みが出るからです。当店は6ヶ月は持つように張っています。が、1年は限界(反発力が相当低下し飛ばなくなり、

打球のスピードも遅くなる)

1年以上使うとお客様が困るのでは?と予想される状況は、同じストリング、同じテンションで張っても、張替え前と張替え後の差が大きすぎること。

慣れる時間が必要になるかも と感じます。

 

 

 

ハイブリッドの非常識070911

2006年ウイルソンカタログ、○○DUOというハーフ2本セットのストリングの説明書きに「メインにナチュラルを張ると素晴らしいフィーリングに・・」、唖然・・。

そもそも同社は横ナチュラルのフェデラー選手と契約してるのに・・  更にショップで聞いたところ縦ナチュラルのプロもいるらしい。なぜ天下のウイルソンが

このようなことを推奨するのか極めて不思議。おそらくポリ老舗のルキシロン社の影響と思われるが、ラケットへの負荷を考えると極めて非常識な言動と言える。

 

 

 

振動止めと打球音070927

実に色々な振動止めが売られていますが、形状により打球音に影響を与えます。縦糸2本に渡す小さなタイプから10本に掛ける長いものまであり、

長いものほど打球音は低く、逆に小さくなれば高い明るい音になります。

打球音のほとんどはストリングの振動で発生します。長いものほど振動抑制効果が高いのですが、テニス本来の打球音は薄れがちに。更に、付ける位置でも

変ります。横糸に近づけると低くなり、グリップ側に下げると高くなります。打った感触も、小さな振動止めの場合は反発が速くなるようにも感じますので、

それが嫌な方も多いのでは?と感じますが、ほどほどに高い打球音の方が気分が高揚する(打っていて気持ちが良い)とも感じますので、

色々お試ししてみてはいかがでしょうか。打ち方でも、グリップを強く握る方の打球音は低くなり、軽く握っている方は高くなる様です。

 

 

 

ストリングの寿命070926

一般的には3ヶ月(20時間)と言われていますが、当店では6ヶ月でお客様に説明しています。レッスンの球出しばかりしていても、経験的に半年過ぎると

飛びが悪い(今まで以上に気張らないと飛ばない)と感じますので、その辺が限度のように思えます。

 

 

 

ゲージの疑問

最近、ゲージ(表示値)の正確性に疑問が出てきた。マイクロメーター(1/100mm)で時折ストリングの太さを測定していると、1.20のはずが測定すると

1.28で1.30に近い。1.35以下のはずが測定すると1.38とか1.40を越える場合も出ている。ナチュラルの老舗メーカー、ポリの老舗も同様に表示と

現実にかなりズレがある。ゲージを目安に依頼を受ける場合もままあることなので、どうしたものか・・これも、測定される可能性は無いからなのか?

やや雑すぎる気がするが。

 

 

 

ずれるのが嫌

打っていると縦糸がズレるが、それが嫌と言う方が意外に多い。その為にずれ難いポリエステル系を選択する。ところがポリエステル系は食い付き感は

あるが飛びが悪い性格が多い。下手なストリンガーほどズレ易いが、ズレたらまめに直す方が、多様なストリングを楽しめて良いと思う。プロも直しつつ

集中するとも聞く。

 

 

 

迷信《ナイロンストリングは雨に弱い》

ナチュラルとは異なり、通常の使用ではナイロン、ポリエステルの吸水率はほぼゼロ。雨でも大丈夫です。

 

 

 

??な事

男性コーチが使っているラケットを女性生徒が借りて使ったら大変良かった。で、その女性から、同じラケット、同じストリング、同じテンションでの依頼があり、

まったく同じで張り上げお届けしたら、まったく使えない。硬くて飛ばないと泣きそうな顔で言われてもなぁ・・男性が使っていたストリングは、男性の筋力で

緩めたと言えるのでは、だから女性が使えたと。良い教訓ですね、トホ。

 

 

 

自分の好みを他人に薦める

自分が気に入ったストリングを他の人に薦める・・良くあることですよね。例えば、ご主人が気に入ったストリングを奥様に薦める、コーチが気に入った

ストリングを生徒(女性)に薦める、上級者(男性)が気に入ったストリングを女性(中級)に薦める等。以上の3例は一言で言うと「合うはずがない」です。

筋力差、レベル差がある場合は合わない可能性が大変高い です。

 

ストリング選びはお医者さんの出す薬に似ています。症状の異なる二人の患者に対し、同じ薬を出すことはないでしょう。男性と女性では当然ながら

筋力が異なり、スイングが異なるはず。つまり症状が異なるはずですので、テンションで調整したとしても同じストリングが合う可能性は低いと感じます。

筋力、スイングスピード、スイングの大きさ、打球種、使用するラケットなどが同じ、もしくは相当近い場合のみ合うかも・・。

 

 

 

初心者用のラケット

「初心者が使うから柔らかく張って」という依頼があります。 一見正常のように聞こえますが、よく考えると異常。例えば野球の場合、初心者だから

柔らかいバットを探すでしょうか。ゴルフでも同様で、初心者だからといって通常とは異なるクラブを選ぶことはありません。初心者用の軽めのラケットを

買うのなら理解できますが、余っているラケットを「初心者用に緩く張って」では、それを使う初心者がかわいそうです。

 

緩いストリングには色々な弊害があります。第一に、打球が飛び過ぎるためラケットを引く・振るという正常な動作が出来なくなり、スイングを途中で止めたり、

テイクバックが極端に小さくなったりします。球種ではドライブで打つと飛び過ぎる為スピンを多用するようになります。第二に、緩いストリングを永く

使用すると打点が後退します。第三に、インパクトタイムが長くなる為筋肉疲労が増し、度を越すとテニスエルボの可能性も高くなります。

 

球技の用具は、球(ボール)に合わせて作られています。ボールに変更が無い以上、初心者こそ標準的な張りでそのスポーツを覚えることが大事なこと。

ユルユルの張りでテニスを覚えてしまったら問題が数多く発生し、後で修正するのは大変なことになります。

 

 

 

トランポリン現象

トランポリンの上で一度高く跳ねると止まりたくてもなかなか止まれず、小さな跳ね上がりが継続する。トランポリン現象とは「自分の意志で制御できない状態」

を言い、意思に反してボールが飛んでしまう状態を言う。ストリングがゆる過ぎる場合に発生し、打球の距離感(深さ)のとりづらい状態で、スイングを

途中で止めてしまう様な打ち方をしている人は、この現象の可能性がある。

 

トランポリン現象を、良い効果のように表現するテニス雑誌の記事を時折見かける。ゴルフなどはクラブの宣伝にこの表現を「良く飛ぶ」意味で使っているが、

飛んだ方が良いゴルフと異なり、テニスはいくら飛んだとしても、ボールがコートに入らなくては意味が無い。飛びを制御するのがテニスだと思うのだが。

 

 

 

時間と気温

張上げたテンションは時間と共に確実に緩み、3ヶ月で6〜10lbs程低下(テンションロス)する。テンション ロスの度合いはストリンガーの知識と技術に

左右され、良いストリンガー程テンションロスが少なく、安定して使える期間が長くなる。更に、ナイロン ストリングは気温の変化に敏感で、気温が

高くなるほど伸びが発生し、結果としてテンションが低下する。

 

 

 

故障の場合

「肘、肩に故障している人には低いテンションが良い」とはよく聞く話だが、度を越した低いテンションはインパクト タイムが長くなり、逆に筋肉疲労を増す

傾向もあるので注意が必要。当店のお客様の中で肘、手首、肩等の障害は、圧倒的に低いテンションの方が多い。お試しで柔かいストリングに変え

途端にエルボになったお客様もいる。オフセンターでの面ぶれも緩いストリングほど顕著になる。打球時の面ぶれが気にならない程度にテンションを

上げる方がよいと感じる。

(インパクトタイム:ボールがストリングに接触し、ストリングがたわみ、反発し離れるまでの時間)

 

 

 

切れる直前

時折「ストリングは切れる直前が一番良い」とのご意見を聞く。切れる直前とはどの程度の期間を言うのか解らないが、それ以前の期間は使いにくい

という意味なら、ストリングもしくはテンションが合っていない(多分硬すぎ)状態と感じる。どんな材料であっても細くなれば(切れそう)伸び易くなるため、

食付き感は増す。本来は、切れる直前の打感を狙って張る方が自然。

 

 

 

ラケット(ストリング)の日常管理

ストリングは温度に敏感。特に高温(30度C以上)には弱く、その様な環境に長時間放置すると急激にテンションが低下するので注意が必要。

ドライヤーを僅か10秒程でもストリングに熱風を当てるとたちまち3〜5lbs低下する。よく車中にラケットを放置している人を見かけるが、短い時間で

あっても車内温度の上昇に伴いラケットの温度も上昇しテンションロスが加速する。真夏の車中はストリングにとって最悪の環境

 

 

 

ストリングが切れたら

使用中にストリングが切れた場合は、縦横のバランスが崩れラケットが変形する危険性があり、速やかに他のストリングも切る必要がある。ラケットの

ためには切れる前に張り替えることが大事。

最近の軽量ラケットは軽量化の為に非常に肉薄(1mm以下)な構造になっている。プレイ中にラケットを落としたり、パートナーのラケットに当てたりすると、

簡単にクラック(ひび)が入ることがあり注意が必要。

テニスに限らずスポーツ用具は、その人の状態に合わせて選択すべきものであり、決して人が用具に合わせるものではない。ご自分に合った用具を

早く見つけ、快適なテニスを末永く楽しまれる事を願っています。