最近の記事   

 

 

多忙で 2023/06/18

バネがチャックと干渉することが判明。   バネを外し、低い固いゴムに変更しました。  が、介護明けの4月に復帰した協会の先生方から合奏依頼が山のように来ており、

分銅型の試し張りは当分、手が廻らない・・・   少し落ち着くまで、このまま放置 です。

 

取り合えず変更後の画像のみ   材木のしなりだけで十分、吸収できそうな気がしますが。

 

 

 

完 成 2023/05/09

衝撃吸収装置の細工が終了しました。  装置なんて大げさなものではないけど。

 

 

重り側のスポンジ(黒)とシーソー式のバネで受け止める構造。   そのまま落ちるよりはマシかなと。

 

 

支柱を立てて分銅水平の状態。   水平にすることで重りの微調整もやり易いのではないかと。

 

テンションロッドは、全ネジではなくそのまま。   取り合えずこのままで何本か張ってみようと思ってます。    分銅初心者なので、分銅型の張りに慣れないことには話にならん。

慣れて初めて広島張りと時間張りの差が正確に出るような気が。   なんか緊張しますね・・

 

 

 

分銅型購入 2022/12/18

バネ式が2台もあるので今更、分銅?? 迷いまくったんですが、時間張りと広島張りの比較をしたい だけの理由で入手しました。

 

 

XP45かと思ったら、Flexなんたらみたい・・ ま、問題なし。  ブレーキなし。  これでお客様のラケットを張ることはない。   先人の知恵を体感したい だけです。  

各部がかなり使い込まれた状態だったので、あちこちのガタを修正し、気に入らない箇所は改修。   外注に出すこともなく、バネよりはかなり短時間で済みました。 

 

ところが、

テンションバーの目盛りがボロボロだったので、テンションゲージを使って目盛りをマークして・・  でしばらく作業していましたが、分銅位置の微調整がどうにもやりにくい・・ 

基準ゲージを使って40.50.60で目盛り線を書こうとしたのですが、中々ぴったり合わない。   こりゃ、微調整できんとまずい!ということで考えた挙句、分銅を廻すことで

微調整ができればいいじゃん との結論に至り、

 

テンションバー(直径12mm)をM12の全ネジに交換し、重り側にM12ナットを付けようかと。   分銅を廻すことで微調整ができる。  気にし過ぎ?  分銅初心者なので・・・

完成したら画像を公開します。

 

更に・・なんですが、早速やらかしてしまいました。  テンションゲージを引っ張っている最中にストリングが外れ、分銅が落下。  凄い衝撃にびっくり。  これは明らかに危険で、

チャック部の軸にも相当な負荷が掛かるはず。  止めネジも曲がったみたい。  ここがガタガタだった理由が判りましたね。  

 

ストリングが切れた時(万が一)の衝撃緩和の工夫も必要ですね。  対策検討中です。

 

 

 

訂正 広島式→ 広島張り  2022/05/28

“広島式”はどうも使い難い・・ので、“広島張り”に変更します。  広島方面で行われていた張り方とのことなので、そのま広島張り。   張替えのことと直ぐに判る。

名称を揃えるならこちらは千葉張り?茂張り?・・となってしまうのですが、時間張りと決めてしまったので今更、これを変えるのもチト辛い・・

 

分銅型は広島張り、バネ式は時間張り・・こんな感じで。  バネ式で広島張りのカーブを再現するのはほぼ不可能ですが、分銅型はどちらのカーブでも可能なので、

選択はご本人にお任せ。 

 

ポリの張替えが多いなら断然、広島張り。  他マシンが割り込む余地はないです。  時間張りでも固いポリを引くのは、ハンドル操作が微妙過ぎでかなり気を使う。

広島張りなら、素人でもマニュアルを守るだけで硬く、再現性高く張れる。  プロにも負けない。   ポリエステルストリング個々の性格を忠実に再現できるのは、

広島張りしかないと思います。   人力を加えたらダメ。

 

 

 

広島式 広島張り2022/01/23

過去の記事中に、広島式とか広島10秒とか広島式10秒とかごちゃまぜで何度も書いていますが、名称がバラバラでは良くないと思うし、何でも10秒で引けば良い・と

勘違いされても困るので、名称は広島式 広島張りに統一します。  広島式 広島張りは、ナイロン、ナチュラル10秒、ポリエステル15秒。  15秒は当方の提案ですが、当時は

ポリは無いので、マニュアル追加もお許し頂けるのではないかと。

 

テンション値と時間で管理する時間張りの先駆けは広島張りであることは明白なので、広島の先人に敬意を表します。

過去の表記も見直し修正しましたが、見落としもあるかも。

 

 

 

改めて自画自賛 2021/11/30

時間張りで20年以上張っていますが、糸揃えをしていてとにかく、ストリング1本1本がしっかりとバラつき無く張れている“感じ”は気に入っています。  広島張りも同じ。

以前なら固い1本のとなりが緩かったりもしましたが、この張り方ならそれはない。  切れ難くなりますね。

 

ノット最寄りの1本は、やむを得ない気持ちは残りますが、使用には問題ない  我ながら“良い張り方”と。   1lbs差、2lbs差も、オウル等の人力が介在しないので、

安心して張れますし、お客様にも好評。  自動機(電動)の方々は、1lbs上げ下げで、オウルの力加減をどうするか超悩むと思うのですが、余計なお世話か・・

 

広島張りが生まれた当時は、ウッドラケット+ナチュラル全盛の時代と思うのですが、誰がどうやって思い付いたのか・・凄い人が居たものです。  当時インターネットは

無いので広まらなかったんでしょうね。  ネットがあれば分銅の広島式が広まっていたはずで、張りの中身を理解できた人は、自動機はおろかバネ式も買わない。

広島張りで張った後で只のバネ式で張ったりしたら、金返せの一言です。  

 

51 lbs、52 lbs、53 lbs、54 lbs等のわずかの違いを、いとも簡単に張り分けることができるのも広島張り。  バネの時間張りでも張れますけど、腕が疲れてくると辛くなる。

広島張りを紹介したことが自画自賛のような展開になってしまいましたが、まだ分銅型が売られていてほんとに良かった。  未来は明るい。

 

 

 

時間の根拠 2021/11/19 

時間張りの原点(基準)は下のERT700です。  マシン設定値 = ERT700測定値 を目指して時間を決めました。 

 

時間張りで16*19 100インチを張ると、張り上げ1時間経過後のERT700の測定で、設定値より平均2 lbsほど高くなる。  翌日配達が多かったので、お客様の手元に

渡った時点で、下がったとしても指定のテンション値は確保できるだろうと感じたことがナイロン7+5の12.秒に決めた根拠です。

 

 

測定機を所持されない方てもこの条件て張ると、同等の張りが可能になるはず。  マシンの精度、張りの個性、ストリングの種類等々の差は生ずるとは思いますが、

概ね近似の張り上がりになると思います。   ですので、時間を変えてしまうと何の基準で張り上げたのかが判らなくなる。  更に、広島張りなら、張り上がりはもう少し

固くなると思うのですが、分銅型は扱ったことがないのであくまで推測の範囲。 

 

ポリエステルの時間は、ハンドル操作の感覚でナイロンと同等を求めた結果で決めましたが、張り上がりの測定値は 2 lbsほど低くなる。  原因を色々考えましたが、

比重のせいなのか、材質の特徴なのか、測定機の傾向か・・  ポリの多くは125にも関わらず低い。  原因は不明のままですが、時間をより伸ばすことも抵抗がありましたので、

9+9の18秒で今まで張ってきました。

 

張り上げ1時間後測定の意味は、どんな張り方であっても張り上げ直後は急激に降下しているはずで、それを測定しても使う打感を表すことにはならない。

張り上げてから一定時間経過後に測定することが望ましいことは、少し考えれば判る。  夜に張って翌日配達が多かった私は、もっと時間を空けたかったのですが、

1時間が限度でした。

 

ギターの調弦で、クラッシックギターのナイロン弦は引いても引いても時間と共に伸びる。  張力より時間の方がウエイトが高いと感じましたね。  ですので、引きの時間は固定し、

張り上がりの固さはテンション値で調整することをお勧めします。  

 

 

 

分銅型とポリエステルストリング 2021/11/02

最近特に、分銅型とポリエステルは最強の組み合わせではないかと思う。  “ポリを張るなら分銅型(広島張り)が最適”の意味です。

 

バネ式の時間張りで初めてポリを張った時、なんじゃ、こりゃ?  ハンドルに力を入れた数秒後に伸びてくる感じ。 ルキシロン オリジナルだったと思いますが、通常の

ナイロンに比べて1/4位しか伸びない。  こんなのラケットに張って良いの?と。 とにかく伸びが遅いし伸びない。  明らかにナイロンとは異質で、只のバネとか電動では

絶対に無理と確信しましたね。

 

広島張りなら、ポリの伸び難さが幸いし分銅の水平も維持し易い。  分銅水平で15秒間放置で良いので極めて楽。  固いポリでも柔らかいポリでもまったく平気。 オウルが

介在しないので再現性も高い。  最近はかなり柔らかいポリも多いのでそれなりに気を遣うとは思いますが、それでも広島張りの優位性は揺るがない。 分銅型の構造そのものが、

伸ばし難いポリを伸ばすには最適。  ポリの為にしぶとく生き残り再度、分銅型の出番が来た感じですね。  

 

あえて広島張りが苦手となりそうなのは超柔らかいポリ。  例えばエナジーとかブラックゲノムとかエッグパワーとか・・ ゲージが細いほど分銅が落ち着かないような気がしますが、

当方のバネでも状況は同じ。  伸びが落ち着くまで待てない感じ。  気分が悪いのですが冷酷に時間でロックしています。 とにかく時間は守るしかない。

 

今はあまり聞かないが、初期の自動機で硬いポリを張ると、自動制御用語のチャタリング (引く、止まる、引く・・を短時間に繰り返しガタガタと振動する現象)が発生。

ポリと自動機(電動)は相性が悪い証明で、自動(電動)の天敵はポリエステルだと思います。   バネ式なら腕力が必要だし・・

 

最近の分銅型の中古価格を見ていると、中古のはずが新品と同等かそれ以上で落札されていることもある。  それなりに評価が上がっている印象で、少しづつ良い方向に

向かっている様な気もします。  

 

張り機のメーカーさんにとっては何とも皮肉な結果になりそうな予感ですが、これも時代の流れと理解して頂き、分銅型の量産に頑張って頂きたいですね。

納期未定・・なんて冗談言っている場合ではない。   

 

ラケットメーカーさんのカタログにも自動機が載っていますが、早く分銅型に切り替えることをお薦めします。

 

 

 

 

 

 

現在、記事の内容毎に場所を入れ替えております。

 

本文 当ショップの張り方  形状維持・時間張り」  2011/10/17公開

 

 

 

 

目的その1 テンションロスの削減 (設定値と測定値の合致)

 

マニュアル  最大の特徴は、引く時間を長くすること。

@ ストリングを引く際に上表のカーブを想定し全ての糸で行う

A ナイロンとポリエステルは、使用するカーブが変わる。 ナイロンは1st7秒、2nd5秒の計12秒。ポリエステルは1st9秒、2nd9秒の計18秒間テンションを

掛け続ける  (オウルは不使用 ん、そもそも持ってない・・)

B 2ndカーブは本来、水平(keep)が望ましいが、マシンの構造上不可のために-5%ほどから傾きを変えている

 

環 境

ストリングマシン : ファガソン スプリングアクション(バネ式) STD-2000 (改造多数)

測 定 器    : テニスコンピューター ERT700 (ゴーセン GA-52)

測定タイミング : 張り上げから1時間後

基準ゲージ   :ファガソン 棒ゲージ

 

長 所

@ テンションロスが少なく、寿命は通常の倍(6ヶ月〜 ポリも切れるまで使用可能)

A 張り上げ1時間後の時点で、設定値に近似の測定値が得られる

B セッティング・オフ・オウルは使用しない為、人起因のバラツキが皆無になり再現性が向上する

 

C 調整値と測定値が近似 (設定を2lbs上げれば、測定値も2lbs上がる)

D 手動の為に、引く条件は自由に設定・変更が可能  (推奨はマニュアル維持)

E 50lbs台なら2lbs差を実感  50lbs以下なら1lbs差も実感が可能

 

F ストリング個々の性格の違いが明確に判る

G ストリングがズレ難く切れ難い

H プリストレッチが不要

 

短 所

@ 張り替え時間が長い(通常の倍〜3倍程度) 当然、単位時間当りの張り本数は減少

A ストリングの性格が明確に出る (安直な選択は後悔する可能性が高い)

B 寿命が伸びるため張替サイクルが長くなり、ショップなら売り上げは減少

 

 

注意事項

@ この張り方は、現行2011現)の自動機(電動)では不可能です。  バネ式も工夫が必要。   市販機のままで可能な機種は分銅型のみ。

 

A 張り上がりの硬さは、平均的ショップより3〜5lbs、極端な場合は10lbsほど硬くなりますが、それで問題が生じても自己責任でお願いします。

 剛性、クランプの戻り等マシンの条件が異なるはずですので、同様に張っても個人差は生じます

 

B テンションカーブはハンドル操作の指針であり、当方の引きを実測した結果ではありません

 

 

自動機が不可の理由

@ 引くスピードは決められた範囲で管理は出来るが、時間の管理ができない

 

A テンション維持(Keep)の機能がない   モーターが停止すると表示数値は現状維持だが不感帯にあるだけで、実態はテンションロスが始まっている

 

B 改造にはモーターアッセンブリ交換(多分)、プログラム変更等必要であり、簡単な(安価な)話ではないはず

 

 

 

時間張り」が生まれたきっかけ 2019/2/10

実は私は、暦は長いがギターのほぼ初心者で、たまに弦を張替える。 その際の調弦は、初心者のこともあり非常に時間が掛かる。   合わせたつもりが少し

時間を置くとすぐにピッチが下がる。でまた上げる・・の繰り返し。   6本の弦を正しい音程に調律し、曲が弾けるまでに約2日ほど掛かってしまう。(勿論、

付っきりでしている訳ではないが) 

 

各弦の音程が安定した時点で適正なテンションが掛かっていることになり、やっと曲が弾ける。   演奏は下手でも、正しく調弦ができていなければ気分は悪い。 

単純計算で弦1本に8時間掛けて引っ張っていることになる。

 

その時にふと思ったのは、クラッシックギターの弦はナイロン弦。 テニスのストリングもナイロン・・・  ギターは弦6本に二日も掛かるのに、張替えは35本(16+19)が

何で30〜40分で張れる??   それならラケットも、引く時間を現状より延ばせば?で、思いついたのがこの時間張り。   案の定、時間を長くして張りテンションを

測定すると、今までより格段に固く張り上がっている!!!  硬く張れなかった理由が判った瞬間でした。  (確か1998-99年頃の話)  嬉しかったですね^^

 

結局ラケットは、緩むことが前提でテンションを決めているだけなので問題は、テンションロスの度合いを如何に狙った範囲で管理するか。  それは時間が決めることに気が付いた。 

広島の10秒に至る経緯は不明だが、内容としては同じ。   この張り方は、ポリのような伸び難いストリングに大変有効と感じる。

 

ギターがあって良かったとつくづく思います。  エレキも所持していますが鉄弦ですので、エレキの張替えだったら思いつかなかったかも。   人生、何が役に立つのか判りませんね。

 

 

 

バネ式(スプリングアクション)の改造内容 2020/11/3

時間張りに使用している水平器の構造です。 本体はホームセンターにほぼ常備していると。   台はアルミの板でマグネットを挟んだ状態。材質は何でも可。

中央にビスを通し、蝶ナットで軽く締めています。 マグネットもホームセンターにあるはず。

 

 

 

テンションヘッドに乗せた状態。  あまり細かいことは気にしなくて良いです。   水平器の傾きを調整する必要がありますので、蝶ナットはあまりきつく締めないこと。

 

 

 

以下、水平器の傾きの調整方法と時間張りのマニュアル。

要するに、ハンドルがいつロックするのか判るようにするだけ。 判ればその間のハンドル操作(引き方)は自由になります。   既存の水平器を何とか利用した形。 

これで約20年、時間張りを行っています。  以前に紹介したテンションカーブをイメージしてハンドルを廻すようにやってみて下さい。

 

ナイロンはよく伸びるので比較的楽なのですが、昔の固い(伸びない)ポリは慣れるまで大変。  最近のポリは柔らかいのでやり易くはなりましたね。

ポリは計18秒間、ハンドルを押し続ける必要がありますので、女性には少し辛いかも知れません。 

 

40lbsでも60lbsでも問題なく使えますが一点、マシン設置の床がソフト(例えば畳とか板張り)の場合、人の足の置く位置によってマシンが傾くと、気泡も微妙にズレますので

ご注意ください。

 

現在、バネ式で張っている方がどの程度おられるのか判りませんが、この時間張りができるようになると、平均的な自動機より約5lbs位は固くテンションロスは少なくなり、

再現性も高いので試して損はないです。    私の知恵ではこの程度ですが、理屈が判ればもっと良い方法を発案する方もおられると思いますので、積極的にマシンを活用して

頂けると嬉しいです。

 

例えば ヘッドの上に棒(赤部)を乗せて、延長線上に目盛りを設置すれば、床の傾きに関係なくヘッドの傾きが検出できますが多分、邪魔・・

 

他に、水平器も精度があり、上図のタイプは安価で精度が低いので狭い動きになります。   精度が上がれば価格に0が増えますが、サイズも大きくなり

見易くはなると思いますので、ご検討されることも良いかと。

 

 

台の変更 2020/11/08

傾きの微調整に難点があったので、以下の改造を。 軽い木の棒で叩いて微調整していましたが、結構難しいのでネジ式に変更です。

 

 

アングルもホームセンターで発見。 切るとか穴あけとかは一切なく、買ってきたまま。 傾き微調整ネジのナットは、瞬間接着剤で付けてあります。  

水平器とアングルの組み付けは、水平器本来の差し金に取り付ける構造がそのまま役に立ち、手間いらずで済みました。 おあつらえの感じです。

ミニアングル TW-04 (株)八幡ネジ

 

水平器で色々検索してみましたが、上図のようにちょい乗せのタイプは少ないですね。みんな長い・・ この曲尺用水平器を作ってくれたシンワ測定さんに感謝です。

 

 

 

パーツの詳細 2020/11/15

ほとんど壊れることはないのですが、予備として購入。  慣れたせいか、やはりこの水平器が使い易いです。

 

 

このミニアングルは、下の色違いです。 これにマグネット、ビスとナット、瞬間接着剤があれば かなり短時間にバネ式のハンドルロックのセンサーが出来上がります。 

アルミの台は不要でした。

 

 

 

少し改造 2020/11/17

マグネットを低いタイプに変えました。 これで当分は落ち着くはず。

 

 

マシンの設置場所は板張りの廊下なのですが、足の位置で微妙に沈むようで微調整は常に必要の感じ。  4本ほど張りましたが、微調整は快適に。  ネジの頭は、指が痛いのでシリコン

チューブを被せてあります。

 

 

 

バネ式(スプリングアクション)の注意点 2021/05/30

バネ式も時間張りなら問題はないのですが、一つ注意点を挙げるとするなら、リリースレバー先端の摩耗に注意してください。

 

リリースレバー

 

当方はのマシンはかなり雑な作りで当初、リリースレバーの先端も下図のようにエッジ(角)がありました。    この角の位置でハンドルロックのタイミングが決まるので、

シャープな角が少し摩耗すると基準がズレる。  摩耗が進行する毎に基準がズレる印象。   設定値より低い値でハンドルがロックする方向になります。

 

使ううちに角が丸くなると、基準値のズレもほぼ無くなりました。

 

メーカーに拠っては面取りをしている場合もあるとは思いますし、張り本数でも変わる要素なので、自分のラケットを張るだけならそれほど気にする必要もないとは思いますが、

久しぶりに基準ゲージと比較したらズレていた・・が一番困ることなので、導入後の数年は基準ゲージで定期にチェックして、ズレたら早めに校正をして下さい。

 

校正は、私は50 lbsで合わせるようにしています。

 

 

 

 

 

それに至る経緯  何故硬く張れないのだろうか と随分悩みました。

 

測 定 器 テニスコンピューター ERT700 (ゴーセン GA-52)

 

 

ラケットのストリング張替えは、測定機が無ければ結果が判らない。   ホームストリンガーなら打った印象で判断するしかないが、商売で張るなら結果が不明では困る。

この測定機は、結果をlbs(ポンド)で表示してくれる為に判り易い。  張り替えを始めた当初あまりにも低い結果に、張り方を再考するきっかけとなった測定器。

 

 

 

グラフ1

 

 

その取説中に上のグラフがある。テンションロスの度合いを表すグラフだが、概ね@とAの2種のこう配で構成されていることが判る。 

名称を付けるなら@を1stロス(初期伸び)、Aを2ndロス

 

1stロスは張り上げ直後の急激なゆるみで、ストリングが急激に伸びていることを示す。 2ndロスはその後のなだらかなゆるみだが、おそらくラケットは

不使用で計測した感がある。   実際テニスで使用すれば、打球毎に伸ばされるため、階段状で降下するはず。

 

横軸も縦軸も数値が無く想像するしかないがもし、1stロスのこう配が無ければ張替えとしては理想的になるはず・と考えることは自然。   1stロスが

テンションロスの主因であることは明白で、柔らかいナイロンと言えど伸ばすには時間が必要という表れ。

 

 

グラフ2

 

BとCのカーブは当方が書き加えたもの。ショップの差とは、それらの差と感じる。   どうせ張るなら設定値により近いBを目指すべき、つまり1stロスの

こう配を取り去ればよい。    取り去るにはゆっくり引き、その間で伸ばせば良い・となる。    緩み易いショップ、もしくは張って1ヶ月ほどで緩んだなら

Cレベルということになる。

 

 

ナイロン12秒、ポリ18秒の根拠

スプリングアクションの利点は、ストリングが伸びる感触がハンドルを通して手に伝わること。   ナイロンの引き始めの伸びが少なくなったと感じるまでの

時間が体験上7秒位ほど。  均質化の為に更に5秒keep(維持)を加え計12秒に決定。   従来のバネ式の約1秒。自動機約3秒と比較しても約4倍の

時間で引くことになる。

 

ポリが発売されナイロンと同条件で引いたところ、明らかに伸び方が異なる(遅い)。   そのために更に時間を伸ばすことになり、結果落ち着いたのが9+9の

18秒。 その後発売された柔らかいポリの中には、18秒では足りない・・と感じるものもある。    引く時間を伸ばせば更に良いはずと考えがちだが、それまでの

慣習からより乖離する為、お客様の抵抗感も増すはず。

 

 

クランプの戻り(テンション未達のひとつの要素)

せっかく引いたストリングはその位置で固定したいが、クランプが引っ張られ戻ることは無駄の一言。   ゼロにすることも不可能だが0.5mm以下にすべき。

目視で動き(戻り)が確認できない程度が良い。 特にクロスを引く場合のクランプの戻りが多い場合は、マシンの潜在的欠陥(ベースの強度不足)であることが

多い。

 

 

その他

当方の張り方はオーソドックス。 クロスは、ラケットにより下からもしくは上からの一方通行。 ハイブリッド以外は1本張り。    トーナメント張り、アラウンザ・・・

などの特殊な張りは一切お断り。   クロステンションのご指定もお断りしています。

 

 

セッティング・オフ・オウル(別名ゆるみ取り)

自動機で何故これを使うのか・と言うと、使わないと固く張れないから。 別名がそれを証明している。   マシンは正確に引いても、人がそれに手を加えれば

再現性が悪くなるのは当たり前。   人により力の加減は異なり、体調の良し悪し、忙しいのかヒマなのかでも動作に差が生まれる。   再現性を犠牲にして

張り上がりの固さを優先している状況。 

 

使わないと硬く張れない。 使うと再現性が悪い。 それが自動機のジレンマ。

 

 

 

基 本 2011/11/23

張り上がりの固さ = 設定値 * ゼロ〜クランプするまでの時間(秒)

 

従来ストリングを引く時間はバネ式で約1秒、自動機は2〜3秒。    硬くしたいなら設定値を上げるしか方法は無いが、設定値を上げただけではテンションロスの

度合いは変わらない。   テンションロスを削減するには時間を延ばすことが最良で、他に方法は無い。

 

 

 

引き時間とテンションロスの関係 2020/7/24

既に理解しておられる分銅ユーザー氏も多いと思いますが、引き時間とテンションロスの関係をざっくりと予測しグラフ化してみました。 

左側は、ゼロからスタートして設定値に到達するまでの過程を示したもの。   自動機は長く設定が出来るはずですが3秒は、オウル不使用時を観察したおよその平均値。 

グラフにすると引く過程にかなりの違いがあり、ゆっくり引くほどテンションロスは減少するので、右側はおそらくこんな内容で良いかと。    左側の過程に対して、右側の

テンションロスカーブの予測は、クラッシックギターをされている方なら全員がご納得いただける結果(理屈)のはず。

 

自動機のオウル使用の場合は、力加減も不明でオウルの使い方も個人差があり過ぎなので、予測は不可能・・というか無意味。

 

広島張りのテンションロスカーブは混みあってしまうので未記入ですが、時間張りの上を通過することはほぼ間違いない。    設定値に対しどれが近似なのか、狙ったテンションで

張り上げるにはどのカーブが望ましいかは直ぐに判りますね。    左側が全てを物語ります。 引く時間を長くする意味で、その極みといえる分銅型の水平保持の機能は理想的。  

張るなら分銅型で決まりです。   1秒もしくは3秒では、大幅なテンションロスは避けられない。

 

たかが十数秒程度の違いですが、これを省略した為に自動では固く張れず、オウルを付け、プリストレッチ機能も付け・・の、何とも苦しいドロナワ的状況。   よく広まったと感心しますが

現状では、張りの質と再現性に於いて分銅型に遠く及ばないことは明らか。   真面目なショップさんほどお悩みのはず。

 

一言でいえば、マシンvsマニュアルの構図。 分銅型であっても、分銅離して直ぐにクランプすると1〜3秒の結果と同じなので、マニュアル(方法)が如何に大事かということ。 

分銅型の課題は、ゼロ〜分銅離すまでの間を何秒で通過するかが結果に影響を与えそうな気もするので、急いで通過しない方が良いと思います。  グラフでは2秒ほどの傾きで

線を引いてしまいましたが、もう少し長い方が良いような・・ 

 

自動機は、時間の管理が可能になるのか、どの程度まで時間を長くできるのか更に、水平保持の機能を付加することが可能なのか、が今後の課題と思いますが、単に広島張りの

模倣なら価格で勝ち目はないですね。

 

このグラフで「張る」の中身と意味が一目で判ると思いますので、ご参考になれば嬉しいです。   つくづく、広島張りは誰が考えたのか・の想いが廻りますが、先人の知恵を

ここで繋ぐことができたことも良かった。 

 

 

 

時間張りの主役 2020/03/29

 

 

 

ついうっかり、時間張りの主役を忘れていた。  音楽で使うメトロノーム。 これが無いと秒数が計れない。    60にセットして1秒をカウントし、音を聞きながら

秒数を数えて引いています。 多分、分銅型の皆さんは既にしている方は多いはず。

 

 

 

広島張り 2016/06/14

2000年に張替え営業を開始し確か3〜5年経過した頃だったと思いますが、たまたまファガソン社長との電話の中で、昔の分銅式分銅水平で10秒保持 が 広島方面

行われていた・とのこと。  自発案と自負していた自分には軽いショックでしたが、固く張るための工夫が過去にも存在していたということ。 先人は凄い!

 

しかし、ネットで分銅式の動画を幾つか見ても、手際の良さを誇示するようなものばかりで、その知恵が伝達された形跡を確認できるものは見当たらない。  地域限定の

先人の知恵のよう。  バネ式発売と同時に消え去ったローカルマニュアルのようだが、先人の知恵が以後の張り機に伝わることが無かったことは不幸の一言に尽きる。

 

 

 

 

Sラケ

 

W BURN100 18*16 まとめ 2022/05/26

今週もお一人の張替えで、下記の比率 8.4%を9.4%に上げ更に、サイドの2本のクランプを強めに押す でトップの落ち込みは更に減少しました。

やっとこのフレームのマニュアルが決まり。   クロスを10%+でも良さそうです。  (長かった・・) 

 

現状 5名様ほどのお客様がこのラケットをお使いで、皆様のお陰で何とかたどり着いたかと。  どう考えても、ストリングパターン(18*16)は極端過ぎ・ですね。  

なので他のSラケより時間が掛かった感じ。  

 

落ち込みで思い出したのは、ヘッド ラジカルOS 18*19。  張替え営業を始めた当時、トップ落ち込みが中々改善せずにかなり悩んでおりましたが、やっと原因が

理解できた気分。   面サイズは異なりますが共に丸型形状でメインが18本の共通点。  クロスは落とす・・が当たり前と思っていましたので、直るはずがない。

ラケットメーカーさんは何を考えてSラケを製造したのか、担当者氏のお顔を拝見したい気分。 

 

広島張り、時間張りの方はご参考にして下さい。  形状は良くなるはずです。

 

 

 

18*16がやっと・・2022/04/05

W BURN 100 18*16が、やっとまともな形状になりました。  やれやれ・・

 

それまでの一番の困りごとがトップの落ち込み。  ほぼ1mmに改善。   通常の100インチ16*19と同等です。

 

サイドは微妙ですが、赤が何とか内側に入りました。  

 

累積荷重の中身は、M 41 lbs*18p=738 lbs      C  50 lbs*16p =800 lbs   8.4%+  (62lbs+)

クロスを9lbs上げというか、メインを9lbs下げというか・で、やっとほぼ元の形状に近い張り上がりに。 ご参考に。   なんだよ、このラケットは・・  ウイルソン、いい加減にしろ!と言いたい。

サイドをもう少し内側に寄せようと思えば、クロスを更に上げるか、メインを下げるか・なので・・どこまで行くんだ感ありあり。

 

形状はほぼ満足いくものになりましたが、これを何ポンドで張ったことにするのか・・で悩み、クロスの50 lbsで表記。 

Sラケ張替えの頻度が増したら、今まで不調だった電卓が好調になりました・・ もうヤケクソですね。(意味不明) 

 

 

 

Sラケ 縦横比の注意事項 2021/12/10

下記の縦横のテンション値は、あくまで時間張りで張った結果です。   他ショップの自動機(電動)でも “同じ条件で張れば良い” ではありません。

 

その理由は自動機の場合、クロスにオウルを使用すると片側だけ人力が加わることになり、おそらくクロスが強くなるような気がします。 既にお判りとは思いますが

フレームの変形は、メインとクロスのバランスの問題。  オウル不使用ならバランスは取れると思いますが・・・   安易に指定しない方が良いです。

 

自動、電動は、オウルの力の加減に合わせて形状を測定しながら縦横のテンションを模索するしか方法はないと思います。  テンションの計測に人力が介在しない状況

(例えば分銅型)でなら再現は可能と。

更に、一言でSラケといっても18*16、16*15、16*16等ストリングパターンが様々ですので、フレーム個々の比率を計算し確認した方が安全だと思います。

 

考え方として、クロスを交互に編まないとしたら、メインとクロスの累積荷重は同じ値で形状的にはバランスが取れる。 それができるなら簡単でよいのですが、クロスをメインに

編み込みするので、メインは折り返された分固くなる。  その分を上乗せしてクロスを張る。 それだけ。   その点を理解できれば、何とか張りとかしなくても変形の

少ない形状が保てるような気がします。  

 

こうして考えていると、自動・電動は、何をするにしてもオウルがネックになりそう。  オウルを使う基本設計がそもそもの発端と感じるのですが、クロスにオウルを使うなら、

メインも同じ方法、同じ力でオウルを使わないと縦横のバランスは取れない。  考えるだけでもかなり難しそうですね。

 

 

 

W スティーム99LS 16*15  2021/12/7  最近、新しいお客様が増えているのですが、その中にはSラケの方もチラホラと。

 

 

縦横比の考えは概ね、正しかったようです。 

 

下図 全体としては一応、希望通りの形状に収まった印象。  従来の16*19 100インチとほとんど差はない。

 

 

 

 

やや非力な女性でしたので、柔らかいナイロンモノ テク二ファイバー S-GUT16  

中身は  M 42lbs*10p+36lbs*6p=636 lbs     C 45lbs*15p=675 lbs   (39lbs+)  6.13%+

 

変形の傾向は今までとは逆で、サイドが少し内側に寄っている。  6%台が少し強かったようで、クロスの下3本をもっと下げて5%台を狙った方が良かったかも。

今までとは逆の傾向が出たことは、狙い目が明確になったことにもなるので結果的には良かった

 

クロスの45lbsは、通常(16*19)であればメインのスタートは48lbsなので、48 lbsと同等“と言えると思うが、クロスが少ない分柔らかいはずで、スタート45lbs

相当?になるのか・・ややこしい。   なんせSラケは打ったことがないので、打感は想像もつかん・・

今回の張りで、Sラケの形状を維持する要領は理解したような気がしますが、感覚的には釈然としない感じもあります。  メインの42が何となくなじまない。

 

メインを全て同じテンションで張るなら、363/16=39.8 lbsなので、このフレームに関してM 40lbs  C 45lbsで張らないとこの結果にならない。  Sラケには

電卓を付けて売れよ・と言いたい。

 

フレームの変形に関しては、おそらく横糸の数がポイント。  通常の16*19は10%増し、 横糸数が少ないSラケは5%増し程度になるようにテンションを考えて張れば

良いような気がします。   ← 間違い  そのフレームの糸数に依る

 

通常の16*19でもSラケでも、お客様が横糸テンションの指定をすることは、フレームにとって如何に危険な行為なのか判りますね。

 

 

 

縦横比 2011/11/19

BURN 18*16の累積荷重を計算しふと、今まで(Sラケ以外))の中身はどうなのか・と検証してみました。

 

定番の16*19(100インチ)でクロス3lbs下げで累積荷重を計算すると、

M 50lbs*16p=800 lbs    C 47lbs*19p=893 lbs   クロス93 lbs増しはメインの11.6%+   今までの経験則の中身ですね。

 

私の場合はやや複雑で(これで始めてしまったので止められない・ので、真似しなくて良いです)  上と同じスペックで

M 50lbs*12p+53lbs*4p=812 lbs    C (下から)41lbs*3p+44lbs*2p+47lbs*11p+53lbs*3p=887 lbs  75 lbs増しで 9.3%+

 

なんとなく、クロスは1割増し付近で検討した方が、形状としては良い方向になるような気がしますね。

 

とすると、下のBURNは、メインクロスほぼ同じだったので、メインをもっと下げるか、クロスを上げることがより良い方向になるような気がしますが、

まだ足りないか・・・・

 

更に(話を複雑にはしたくないのですが)、上記は概ね卵型フレームには合うと感じるのですが四角、縦長形状は割合を下げた方が無難で、私の場合 yy は

M 50lbs*12p+53lbs*4p=812 lbs    C 38lbs*3p+41lbs*2p+44lbs*11p+50lbs*3p=830 lbs  ほとんど差は無い比率が形状的には一番無難でした。 

110インチ以上もほぼ縦長としてテンションを決めています。

 

更に、フレーム支持6点の力加減でも形状は変わりそうな気もしますので、結論が出る内容ではないのですが、ご参考にしてみて下さい。

 

補足

打感は横糸が主役ですので、まずクロスのテンションを決めてから逆算でメインのテンションを求める方が、狙う固さを得やすいと思います。  テニスの慣習として、

何ポンド等の指定はメインでしたが、クロス指定に変えた方が安全サイドの気がしますね、無理とは思いますが・・

 

 

 

W プロスタッフ 95S 16*15 2021/11/21   最近、何故かSラケの張替えが多い・・

 

 

 

かなり綺麗な形に張れました。  これなら文句なし。

 

 

 

 

中身は   M 50lbs*10p+44lbs*6p=764 lbs      C 53lbs*15p=795 lbs    4.05%+  

 

初めてクロステンションをメインより上げて張りました。  これを50lbsと称して良いのかは疑問ですが、Sラケは横糸ピッチが広いので、通常の53lbsほどに固くはならないはず。

ただ、クロステンションを変えると打感は変わりますので、注意が必要です。

 

面サイズが95インチと小さいことも変形が少なかった理由とは思いますが、理屈は理解できたような。  後は使ってもらって、打感の微調整をすれば良いかなと。

これでメーカーさんは、フレームの変形などまったく気にしていないことが判ります。  気にしているなら、こんなラケットは作らない。  これを使えばスピンが打てる・こともない。

Sラケとは何なのか。

 

ふと考えてみれば、従来の16*19、18*20でクロスを下げる理由は、メインよりクロスが多いことから生まれた先人の知恵。  クロスが少ないSラケなら、メインよりクロスのテンションを

高くしないと形状的なバランスは取れない。   なので、Sラケはクロスを上げる方が正常と考えた方がよい・となる。

 

クロスが少ないフレームはテニス史上初のはずで、Sラケに従来の常識は当てはめようとすること自体が間違い・と、張った後で気が付いた。  結果オーライでした。

 

 

 

W BURN 18*16 形状改善 2021/11/05

以前の張りで、トップが3mmほど落ち込むBURN 100S。   形状維持にかなり頭を悩ませておりましたが、やっと何とかなりそうな状況になりました。

 

 

 

以下が測定結果で、サイドはほぼ面一、トップの落ち込みが概ね1mmにまで改善。  これなら他のラケットとほぼ同等で一安心

 

ストリングはナイロンモノ フォーテン コンペティション15L 柔らかい打感がお好きとのことで時間張り 46 lbsで張った結果になります。

 

何を変えたかというと、メインの両サイド4本(計8本)のテンションを大幅に下げました。  メイン中央10本は46 lbs、その外は37 lbsで9 lbs下げ。

クロスは46 lbsで、ブリッジ側から順に13本目まで張り上がり、残り3本は52 lbs

 

累積荷重を計算してみると、

M 46lbs*10p+37lbs*8p=756 lbs    C 46lbs*13p+52lbs*3p=754 lbs   (p=本数)

 

チマチマやっていてもダメだろうと劇的に(テキトーに)したのですが、結果的にメイン、クロスの累積値差は2lbsになり  同等の荷重になったことが良かったのかなと感じますね。

本来は、クロスを高目にした方が良かったのかも・ですが、とりあえずは目安ができたと感じています。

 

天下のウイルソンがこんな??なラケットを発売するとは・・、もう止めて頂きたい。 このラケットのお客様は、こんなストリングパターンとは知らずに買っている。  ウイルソンだから信頼して

購入したという方もいる。  即刻、回収モノですよ。

 

 

 

 

 

マシンの改造箇所の紹介 2020/2/21

今時、スプリングアクションもほぼ無いと思いますのでご参考にはならないとは思いますが一応。

 

ファガソンSTD2000だったか当時としてはごく一般的なスプリングアクション(バネ式)のマシンで確か台湾製。 2台あり、1台はお客さん用。 もう1台は

予備で、デモとか自分のラケットを張っている。  使用頻度が少ないと、各部の動きが実に悪い・・

 

 

 

 

元々、ラケットをセットしても360°廻るタイプなのだが、ストリングがフレームに対して真っ直ぐに引けないのが気分が悪く、ベースを固定しているフランジ

(画像では見えない)を最寄の金属加工屋で薄く研削し、ベース全体を20mm(かな?)下げた。

 

 

 

 

一番のポイント  バネ式での時間張りは、ハンドルがいつロックするか判らないと出来ないが、それを知るための水平器。 テンションヘッドの傾きが

分かるので、ゼロ〜ロックまでが目視で確認できる。 これは大正解。 分銅型なら不要。

 

 

 

 

メインを張ると支柱の尻が上がる。 固定のボルトが下部中央だったので、メインの応力に負けて支柱が内側に傾く。 んまー、強度不足もここまでくれば立派。

現在は下のボルトは排除し、外のボルト1本で。 これはボール盤で自作。

 

 

 

 

元々はレバータイプだったが、数本張るとレバーのロックが甘くなり固定できずかなりイライラ。 腹が立ったので全部バラし、下からボルトを通しナットで止め

に変更。 ダメだったらどーしよう・・ でも、以後は実に快適。

 

 

 

 

クロスでのクランプの戻りが大きいので調べたら、ベースプレート中央部がたわんでいた。 加工屋さんに固定ネジ(4*2)の追加を依頼。  これが一番

高かったが、クランプの戻りは解消。 ベースプレート表面には、松ヤニを塗ってすべり防止。

 

 

クランプベースは、下面が凸凹 なんじゃ、こりゃ  で、これも加工屋さんに底面を平研依頼。

 

 

 

クロスを張っていると、支柱が歩ふく前進のように内側にズレてくる。兵隊かよ! 

 

 

2台ありますので*2の費用が掛かりました。 けっこう疲れましたが、やっと満足するマシンに。

 

 

 

 

 

以前の記事

 

 

頼まれての張替え 2021/09/17

ラケットを受け取った際は、必ずフレームをチェックして下さい。  過去にクラック入りのラケットが数本、変形も。  どちらも張替え中に大きく変形し、お手上げとなります。 

クラックは、本人が気が付いていないこともあり、持ち帰ってからクラックを発見しても、移動中に割った?なんて言われかねませんので、本人の前で確認が大事。

 

割れていることを承知で、それをこちらには伝えずに依頼されたこともあります。 結果は・・

 

変形に関し、サービスで落とすとトップが凹む。 目立ったキズが無い場合もあるので、形状をよく観察して下さい。 違和感があるなら、かなり危険と思った方が良いです。

 

 

 

張替えの室内温度 2021/01/24

以前にも書きましたがナイロンは温度に敏感。 テニスは基本、屋外のスポーツなので、張る時の室温も極力外気温に近いことが望ましい。  つまり夏は暑い室温、冬は寒い室温で

張り替える。  張る環境と使う環境の温度差を可能な限り少なくする方向で張替えた方が良いです。

 

しかし、作業し難くなっては元も子もないので、可能な範囲で調整してください。  ポリも合成樹脂なので、ナイロンほどではないにせよ温度の影響を受けるはず。  

 

ロスが大きい時には気付かない要素かも知れませんが、張りの質が上がった時は、外乱の要因として表れる可能性があります。 夏と冬は要注意。

一年を通じて人が快適な環境は、ストリングを張る作業には適さないと感じます。

 

 

 

Keep 保持とか維持の話 2020/11/18

食品でも時間のテーマは多い。 こねたパン生地を何時間か寝かせるとか、麺類を茹でるときも何秒とか何分とか、カップラーメンの3分、熟成なども近い内容ではないかと。  

陶磁器の焼成は、炉内の均一と表面と内部を均質に焼結するため、最高温度で数時間はKeepが普通。  弦楽器も、柔らかいナイロンガットといえど狙った音程で維持させるには、

Keepに相当するかなりの時間が必要。 

 

Keep前の動作が多少雑でも、Keepを一定時間確保することで均質の方向に向かう。 上記の事例も、不均一を均一にする先人の知恵。

 

安定した質を求めるなら、必ずKeepという工程を経ることが常識だが張り機に話を戻すと、バネ式と自動機は設定値到達で明らかに停止し、Keepの要素は皆無。  なので時間張りでは、

有りあわせの道具でKeep再現に知恵を絞った。  

 

メカ的には難しくなるのかも知れないが自動機は、何でこんな仕様のマシンにしたのか首を傾げたくなる。 

 

 

 

デジタル角度計 2020/11/11

こんなものもありますね。 デジタルの角度計  底面にマグネット付き  画像はモノタロウから

かなり小型のようなので、サイズが合うなら一番お手軽かも。 調べてご検討ください。  色々種類も多く、厚み方向が30mm位のものもありそうですので、

ヘッドに乗るかをご確認ください。 画像商品のサイズは未確認です。

 

角度センサーなどもかなりお安くなっているようで、その方面の知識がある方なら活用できると思います。

 

 

 

バネ式改造 更に簡易 2020/11/08

もっと簡易なタイプを試してみました。 厚紙と両面テープだけ。 下はテキトーに線を引いて目印。 1mm巾?

 

 

心配なので水平器も併用で早速張ってみましたが、一言で言えば感度が低いので判り難い。 左から3本目で7秒。 3本目と4本目の中間でロック。

老眼でおまけにマシンの影になり、線の位置も低く遠いので見難い。 目の前にあれば良いかも知れません。 これで良いなら、床の強度は無関係になります

ので、目の良い方には検討の余地はあるかと。

 

現状のバネ式も色々な方法で改造が可能と思いますので、皆さんご自身で検討してみて下さい。 私は曲尺用水平器。  ハンドルロックのタイミングが把握

できることでマニュアル機としての操作が可能になり、バネ式も使えるマシンになります。

 

 

 

バネ式改造 簡単タイプ 2020/11/06

前に紹介した水平器がホームセンターの売り場に見当たらないので、 そこで見つけた下の水平器で作ってみました。

 

 

 

 

磁石なので水平器の傾きは調整できます。 少し邪魔そうですが、この方が簡単ですね・・

水平器の線は両側各1本ですがよく考えれば、ハンドルがロックするタイミングさえ判れば良いので1本で十分。 右の線とロックを合わせて下さい。

引き始めから右線の1〜2mm手前まででナイロンなら7秒、ポリなら9秒。 その位置でジワジワ上げながらナイロン5秒、ポリ9秒でロックすれば良いです。

 

先ほど1本張ってみました。 使えますが精度が高いというか測定範囲が狭いというか、ロック直前に気泡が動き出す感じで使い難いかも。 その代わり

ロックを検出する精度は高いように感じました。 ハンドルをゆっくり廻す感触に慣れた方には良いかも。  ナイロンでしたので7秒で上げたいところ、恐る恐る

なので時間が延びてしまう問題がありそうです。

 

ちなみに下で紹介した水平器は、シンワ測定 曲尺用水平器 という名称でヤフオクその他でも販売しています。 1200円位 お取り寄せもできるはず。 

これを購入し、両面テープとマグネットで取り付けることが一番簡単でお手軽と思います。

 

 

 

張りの専門家 2020/11/03

例えばお医者さんであれば、患者の症状に合わせた薬を処方。 靴屋さんなら、お客さんの足に合わせた靴を提案。 メガネ屋さんも・・個人の状態に

合わせて提案しますね。 食材でも、お客さんの好みに合わせた提案があります。  それが普通。

 

ところがラケットの張替えは、店舗営業ならお客さんの打ち方はほぼ判らない。 ケージがあったとしても試打して決めるだけで、店員にテニス経験

ありでも、打ち方を見ての提案はよほど経験を積まないと難しい。 ですので、基本的にはお客がストリングを選びテンションを指定する・の、全て

お客さん任せの異質な業界。  なので、お客としてはラケットを替えたり、ストリングを替えるときはいつもバクチ。 当然、外れることも多いかと。 

 

張替えも本来は、お客さんの状態、使うラケット・に合わせてストリングとテンションを提案できることが理想。 コート施設傍に1台の分銅型・が理想かな。

決めるのはお客さんで良いですが、質の高い安定した張りで色々な提案が出来る人が傍にいると良いですね。

 

ネットに押されテニスショップは都市圏も閉店が相次ぎ、地方に至ってはショップ過疎地域が広がっています。 広島式分銅型で、コート施設の近傍で

営業して頂けると、過疎で悩むアマチュアさんには助かる話。 ストリングの品揃えは大変ですので、持込が良いかと。 張りの専門家ですね。

余計なお世話になることも多いのですが、そこは経験を積むことでカバー。  既にやってる人もいるかと思いますが、より広がると良いと思います。

 

分銅型なら広島式が良いですね。 時間張りはバネ式の方が向く気がしますが、その選択はお任せ。

 

補足  上記に矛盾が・・  持込だと、ストリングの性格は未知の可能性が高いので、結局はバクチ・・  最低限(性格が判る)の在庫は確保した

方が良いですね。 ナイロンマルチは1種、ナイロンモノ、ポリエステルはそれぞれ固、中、柔の3種位かなと。 その上で持込でも良い、に訂正。

 

 

 

張りの質の差 2020/10/23

現状で、(再現性は不明ですが)自動機で固く張れるショップもあり、非常にロスの大きい緩んだ張りのショップもあります。 過去にも書きましたが商売と

しては最低ランクで、自動機の存在が格差を広げたといっても過言ではなく、これほどの差の激しい業界は他にありません。

 

その理由は何かと考えると多分、ストリンガー本人のテニス暦の差。  テニスをしている人であれば、張り上がりの常識的な固さは判りますね。 使えば直ぐに

判りますから、ゆるいと思えば次回はオウルを強く使うとか工夫をするはず。 ところが、

テニス経験が無いもしくは浅いストリンガーは、その常識的な固さが判らない。 「誰でも張れる」宣伝文句で広まった自動機ですので、そのまま信用すると

張り上がりは緩くなりますが、テニス未経験者はそれが緩いか適正かの判断ができない。 

 

アルバイトが張るなら、張り上がりを測定すれば良いだけなのですが、そういうショップに限って測定器を信用しない・使わない。  測定したとしても個人差は

生じますので、対策が判らなければ利用し難いのかも。

テニス暦ありにしてもどの程度なのか。 それに拠り、本人の常識的な感覚も変わりますので、おそらくその感覚の違いが張り上がりの差になっていると感じます。

 

それらショップに対し、アマチュアで張り機を所持する方はほぼテニス経験者のはずで、常識的な感覚を踏まえている方も多い。 自分のテニスがモロに

影響受けますので、お気楽に張る訳にはいきませんね。 個人差もあるとは思いますが、張り上がりの固さには敏感のはず。 そういう人が張ることが本来は

望ましいのですが、誰でも張れる・なんて言われれば、アルバイトでいいか・・は自然の流れ。 

 

そんなショップさんのお悩みを解消する手段としては(何度も書いていますが)、分銅型で時間を決める・これに尽きます。 ナイロン10秒、ポリ15秒。 

これなら簡単ですね。 テニス未経験でも質の高い張りが可能で、固くもなりますが何より再現性が向上し、誰でも何時でもほぼ同じ張り上がりになる。 

お客さんとの会話の質の向上は期待できませんが、指定通りに張れます。

 

他の業界は全てプロの世界。 本来は未経験者が張るべきではないのは当然ですが、ほぼ浸透してしまった自動機にお悩みなら対策の一手になります。

 

後は、分銅型を導入する勇気。  お客が嫌がる可能性もありますので、納得する説明ができるかが問題ですが、嫌なら従来の自動機で張れば良いだけ。

張り機も選択肢を用意することです。 広島式はかなり固くなりますので、自動と分銅の差を測定し周知しておいた方が安心。

 

 

 

異なる面サイズの併用 2020/10/13

 当方のお客様で、バボラ108インチ(マルチ55lbs)を永くお使いの方が、100インチを購入。 その時の張りは、同じマルチで48〜50lbsが概ね

良かったよう。  重さが異なるので何とも言えないが・・とも言っておられましたが、100インチを5〜7lbs下げてOSとMP両方を併用されています。

 

これを目安に、私も他のお客様へのテンション提案を行っています。 面サイズ10インチ差=テンション差5lbs。 逆もあり、100インチで50lbsの方が

110インチにしたなら55lbs。 ストリング種は同じ・が大前提。 糸数とか糸ピッチも関係してくるので、あくまで初回の提案として役に立つかと。 

次回からはお客様自ら微調整して指示してくれると思います。  もしストリング種を変えたならもう、バクチの世界です。

 

 

 

張り方の類似性 2020/10/13

ギター調弦がヒントで生まれた時間張りですが、弦(ストリング)に狙った張力(テンション)を掛ける意味で、ギターの調弦もラケットの張替えも目的は同じ。

それは、目標とする張力を維持するように張ること。  しかし両者の張りには大きな差があり、既存の自動機には大きな問題(純粋な自動では

テンションロスが大きい)があると考えています。 ショップの気持ちを忖度したのか、この程度で良いと思ったのか・・バネ式に毛がはえた程度で、動作が

乱暴というか雑過ぎる。

ただ、弦楽器とは異なり、伸びて緩むことが前提でテンションを決め使ってきた永い歴史があり、一言でいえば緩みの程度問題なのですが、現状の

自動機でこの先も良いかと言われれば、どう考えても良いとは言えない。

 

しかし、世界的にも自動機が普及してしまった現状では、今更騒いでも無駄な気もしますが、今後の事もあるので一応、科学的?見解はお知らせしようと

記事を載せました。  少なくとも、分銅型を所持されている方には即役に立つ。

 

もしかすると、広島10秒を発案した人はギター経験者? その当時にネットがあればバネ式が世に出ることもなく、これほど自動機が広まることも無かった

と思うし、硬く張れない・再現性が悪いと悩む人も少なかったと思いますが逆に、悩まない人が多かったので広まったとも言えそう。 

 

バネ式のお陰で張りの質が奈落の底に落ち、自動機ですこし這い上がったのですが、それでもまだ底付近。 誰がバネ式のガラクタを考案したのか・・

2台も買ってしまった・・ ま、これで時間張りが誕生したので文句は言えないがレベル低すぎで、マニュアル機でありながら自由がきかないおバカなマシン。

類似性のかけらもない。 それに比べて、

 

分銅型の広島10秒は、現状では頂上です。 弦楽器の調弦方法に最も近似。 設定値に最も近い優れたマシンとマニュアルであると認識して良いです。

ストリング個々の性格が明確に出ますよ。

 

世の中、理屈に合わないものも広まるものだと改めてため息がでます。 この先どうなるかは判りませんが、良い方向に向かうことを願います。

 

 

 

ストリングマシン毎の違い 2020/7/10 

ERT700(テンション測定器)の取り説中のグラフ  数字が無いとどーにもならん・・ので、赤字は私の予測で入れた数値。

Y軸DTとあるけど、一目盛り5lbsとして数値を入れてみると55lbsで引いたことになり、まあ違和感はない・・ね。 X軸は、大きい一マスが一ヶ月とすると

トータルで8ヶ月。  初期の急激な低下が2〜3週間位で10lbs、最終的に20lbs低下し35lbs。 安定してそうな水平部分は45lbsで3ヶ月間程。

 

こんな感じはよくあると思うので多分、当たらずとも遠からずでないかと。 以前から、張り替えは3ヶ月毎と言われているから、これもまあ近い。 

55lbsで張替え依頼したら、実際は45lbs・・ 牛肉5.5Kg買ったら、自宅で計ったら4.5kgしかなかった・と同じ。  肉屋なら即、廃業ですね。

 

おそらく、バネ式で張った測定値のような気もしますが、下手な自動機もこの程度は下がりますし、分銅型であっても(水平時間を加えずに)お気楽に

張ると同程度のカーブにはなると。 過去に、張上直後でも10〜15lbs下がる・と言う超下手ショップもあり、2ヶ月使用で20lbs低下の測定実績も

ありましたので、それと比べればまだ良い方かと。

 

ほぼ予測ですので、妄想に次ぐ妄想なのかも知れません。

妄想はさて置き、

伸びるナイロン、ポリにテンションを掛けると、どの様な経過を辿るかがポイントですが、おそらく最も重要な部分は赤丸部。 ここでマシン毎の差、ショップの

技能の差が生じていると思う。  要は、赤丸部の急激な低下(急激な伸び)をどう排除するか。  それ以降のなだらかな部分の傾きは、どのマシンでも

大差は無いはず。 

 

 

まず、バネ式とオウル不使用の自動機(赤カーブ)の差は多分、こんなもの。 赤横線は設定値ライン。 自動機の方が少しゆっくり引くのでロス(低下量)は

少ないが、1秒と2〜3秒の違いなので極端に良くなる訳ではなく、オウルを使わないと固くは張れない。 二本の間隔はテキトーです。

オウル不使用のストリンガーは、テニスしているとしても初心者レベルと思う。  中、上級なら、こんなの緩くて使えないと直ぐに判るはずなので。

 

 

次に、自動機でオウルを使用した場合。  設定値到達直後にオウルで引っ張るので立ち上がり、設定値を越える@。 頂点の高さは、人の力加減に拠る。 

オウルを外すと、伸ばした分急激にテンションは下がるA。  限度を越えて下がると、自動機が再起動し設定値まで引き直すB。 オウルで伸ばした分

ロスは減少するので以降はなだらかに。 1の高さが増せば伸びも増すので、2も深くなる。

簡単に言えば、マシン設定値(lbs)+オウル筋力(??lbs)=張上固さ・になり、オウルでどの程度伸ばすかに拠って以降のカーブが変わることは

想像するに容易で、再現性は良いはずがない。 

 

何かに張力を掛けようとする場合、乱暴な動作で張力を決めることは基本的には有り得ない。 楽器の糸巻きのように少しづつ微調整し狙った張力に仕上げる

ことが常識的な感覚。  途中経過として引っ張ることはあり得る操作ではあるが、このカーブで狙った張力に仕上げるにはかなり無理があると感じる。

 

更に、瞬間であっても設定値以上に上げてしまう行為が良いのかは、私にはかなり疑問。 履歴としてストリングに残るような気がしないでもない。 お気楽な

バネ式よりは良いが、張る時間は長くしたくないショップの意向に合わせた仕様に思えてならず、ボタンを押せば勝手に引いてしまうので、何か対策しようにも

手の付けようがない。 私はお手上げで、これで商売する気にはならない。 

 

 

分銅型は、分銅水平の間に伸ばされるので急激な低下分は排除され、後はなだらかで推移するはず。 人の手が加わることが無いので、時間を守れば

再現性は高い。 私の時間張りもこれを目指している。 唯一の欠点といえば、一張り当たりの時間が長くなる。

時間張り(広島10秒も)なら、張り上げ直後は設定値より少し高くなるので、以降のカーブはもっと設定横線に近いような気もしています。

 

 

各マシンの操作に関し記憶をだどるとバネ式は、ハンドルを廻しロックするまで0.5〜1秒なので超低レベルで安定。 分銅型は水平の時間を守れば

高レベルで安定だが、自動機は引く速度設定もお任せとは思うが特にオウル使用、不使用問題があり、不使用なら2〜3秒なので低レベルで安定。

ネットで動画を見ても、オウル不使用が多いような気がする。 

 

自動と聞けば、オウルなどは使わなくても張れるだろう・と普通は考えるし使えば、せっかく自動で正確に引いたテンションが狂うだろーと誰でも思う。

テニス経験が浅い人とか理系の人は尚更、オウルを使う気にはならないと思う。 

 

オウル使用にしても力加減は人任せなら、張る人間に拠って強く使う人もいればそうでもない人もいる。 糸揃え程度に使っている動画も記憶にあり、

もはや基準が無いと同じで、何ポンドと指定しても意味がないことになる。  同じショップでも、ストリンガーが替われば固さも変わるのはこれが原因。

 

纏めると、オウル不使用なら純粋な自動で張りはゆるい。 オウル使用なら人力自動機とか半自動機で、固くは張れるが再現性は低下するという機種。

下手なバネ式よりは良いが分銅型+時間には遠く及ばず、中途半端としか言いようがない。

 

自動というなら人力が介入するのは避けるべきで、その上で分銅型の動作トレースができるなら使えるマシンになると思うが、それなら分銅型を買う方が

安いか・・   あえて言うなら自動機は、アマチュア本人が急がず慌てず、手順を決めて自分のラケットを張る更に、あまり固くしたくない初中級の人には

カッコ良さそうで、そこそこ役に立つマシンになるかも。  ほぼ井の中の蛙的で、分銅族とは話が合わない。

 

ストリングの張替えは再現性が最も重要で、同じストリングで同じテンションなら、同じ打感にならなくては話にならない。 更に、どのショップで張っても、

同じストリング同じテンションなら、同じ打感を提供できなくては商売とは言えない。 なので、考えれば考えるほど分銅型に行き着くというのが結論。

分銅型+時間は、同じ条件なら限りなく同じ打感に近づく可能性が見えている。  只、ショップが分銅に戻る可能性はほぼ無いと思うので、アマチュアの

分銅族諸氏の活躍に期待したい。 分銅型は無敵です。

 

上記は、あくまで当方の経験に基づく推測です。 こんな感じだろう・・程度なので、あまり信用しない方が良いかも。 

 

テンションロスのカーブは、理想的には水平が良い・と思われがちで、それを目指す分銅族もおられるかも知れませんが、もし水平が可能になったなら多分、

固過ぎて使えない。 今まで50lbsで張っていた人は、40lbs以下に下げないとダメかも。  今まで慣れ親しんだテンション値との乖離が大きくなりますので、

固ければ良い・ものでもありません。  ちなみにギター、ピアノ等弦楽器の調弦は水平ですね。 傾いていると音楽になりません。

 

 

 

分銅型の強み 2020/6/14

ウッドラケットの時代は分銅型。 次に出たのがバネ式(スプリングアクション)、最後に自動機だが、諸悪の根源はバネ式。 それまでの分銅型に

代り広まったが、急いで短時間に張るには好都合だった。 買うのはほぼショップなので、ショップの都合に合わせたマシンといえるが、これが極めて

雑な張り方を生み、張り上がりの質が最悪、テンションロスも最悪。 より早く張れるマシンがショップから求められていたのかも。 質より量の典型。

 

バネ式が最悪でも分銅型に戻る訳にもいかないので考案されたのが自動機(コンスタントプル)。 モーターで引きデジタルで表示。それにオウルを

付け、誰でも張れる・・が宣伝文句で、アルバイトに張らせるショップに広まった。 しかし残念ながら、相変わらず人の技能に左右され基本的に、

バネ式より少し良い程度のマシン。 安価な自動機も増えアマチュアが所持することも多いが、問題点は同じ。 

 

自動機で最も誤解し易い点は、モーターが停止すると、表示も設定値で維持されるがこれは張力が維持されているのではなく、数値を変えないように

プログラムされているだけ。 簡単に言うと、過敏に反応するな・という設定。  伸び難いポリには不可欠の自動制御ではよくある制御手段だが、その為に

張力が維持されていると勘違いし易い。 

普通に考えれば、モーター停止直後からテンションは急激に下がるはずで、表示数値が変わらないことに疑問を抱かない方がおかしい。 

 

オウルを付属させていること自体が性能不足の証明で、(バネ式の)手の代りにモーターで少しゆっくり引き、足りなければオウルで補う・が自動機の

実態であり、過度な期待で買うのは危険。  ポリを引くのが苦手で、特に固いポリはテンションロスが半端無い。 もし私が自動機を貰ったら即、不燃ゴミか

粗大ゴミ。  分銅型なら、手ごろな中古があれば1台欲しいところ。

 

定価100万を超える自動機もあるようだが、そんなマシンをも凌駕するのが分銅型。 6点支持の分銅型で時間を管理することが最良。 バネ式及び

自動機は、設定値で停止し引くことを止めてしまうが、設定値到達でも引き続ける分銅型の構造は、他の2機種は逆立ちしても真似ができない。 

伸びるストリングにテンションを掛けるには理想的で、シンプルで故障も少なく狂いも少ない、メンテナンスも楽。 こんなに優れた張り機は他にない。

今でも売られているのは幸運と言える。これも先人の知恵。 ふと思うが、コンスタントプルの名称は分銅型に相応しく、バネはハンドプル、自動機は

モータープルですね。

特に、ポリでも安定してハイテンションで張りたい方は、分銅型以外の選択肢はありません。

 

分銅型もお気楽に張るとどうしようもないが、張り方を知れば最強で、自由に調整できることがマニュアル機の強み。 固いポリでも問題なく張れる。

時間で管理すると二度引き、プリストレッチ、オウルなどは一切不要で、設定値*時間で全てが解決する。  その点、バネ式もマニュアルなのだが、

人が簡単に介入はできない構造なので、使いこなすことが分銅型より難しい。  

 

バネ式も当方の方法でなら分銅型に近い張りは可能だが、自動機は全て電気で制御なので素人には触れないし、「微妙に少しづつゆっくり引く」ことは

モーターが一番苦手とする動きなので、おそらくどうにもならないと思う。

 

ただ、バネ式の経験でいうと、購入した直後、各部の強度不足が不満で改造を繰り返したが、分銅型でも同様の問題は生ずる可能性は高いと思うので、

剛性を高めて付属品にメトロノームを付ければ最強。  分銅型ならストリングを張る・の意味・理屈が判る。 バネ式及び自動機では多分、理解ができないと思う。 

若いストリンガーの将来を考えれば、お奨めするのは断然、分銅型です。 これを買っておけば後悔はしないし、生涯使える。

真剣にテニスをしている人であれば、分銅型の質の高さと安定感には惚れると思います。 

 

最近の分銅型を検索すると、簡易タイプから新型まで色々とあるようですが、上記はスタンダードな6点支持タイプの話であり、全ての分銅型に

当てはまるかは不明です。

 

 

 

ノット(TIE-OFF)の補足 2020/5/12

 私は目打ちだけでストリングは止めません。 必ず最寄りに爪を掛け、目打ちと爪の二本立てで止めています。 下図ご参照。  目打ちだけだとどうしても戻りが多い。  

戻りを止めるには強く挿すしかないのでフレームが心配。 なので目打ちと爪です。

 

 

手順としては @ノットの1本を引いたまま Aその状態で目打ちを挿し爪を掛ける  Bその後でテンションをそっと緩める  ノットを結ぶスペースが狭く、手が入り難くやり難いのですが、

何とかこれでこなしています。

 

 

 

ノットその他 2020/4/9

ナイロンはフィッシャーマンノット。 ナチュラルとポリはダブルノット。 これでノットが緩んだことはありません。

 

愛用の目打ち

 

どちらから目打ちを挿すのが良いのか悩みましたが、原則的には内側から挿したいので曲げました。 何故かというと、止まる位置がノットの最寄。 少ない力で

ストリングが止まるので、フレームの負担が少ない・です。 但しバボラのトップ側は外からしかないですね。 ほんとやりにくい。 

 

ストリングが重なり内側から挿し難いフレームもあり、無理に内側に拘るとストリングを切ってしまいます。 最後の最後ですので泣き・・ ストリングを刺さない

ように、無理なら外から・ですね。 反対側から照明を当てると、通す道が見えることがあります。私はよくやる。

 

目打ちを使わずにノットを・・などの書き込みもありますが、それは止めた方がよいです。 目打ちを挿したとしてもストリングは若干戻りますので、目打ちを

使わない選択肢はないですね。

 

 

 

訂正 引く時間の件 2020/4/9

下の文章で、引く時間は個人で決めて・と書きましたがふと、なるべくなら合わせた方が良いかなと。 その理由は、分銅型で同じ時間で引くと、張り上がりの

固さは誰が張ってもかなり近い状態になる。 つまり、同一の基準が誕生することになります。これは画期的。

 

自動機でオウルを使ったにせよ力加減の個人差が生じる為、現在でもショップ毎に差が生まれています。 どのショップで張るか?の困った問題は相変わらず

残るのですが、分銅型で時間を合わせれば、この問題は解消はしないまでも極小になるはず。

 

平準化の意味では張り機誕生以来 過去に例がない高品質の世界が生まれますので、出来るなら広島式か、時間張りのカーブを取り入れて頂けると、

将来が明るいかもしれないとふと思いました。  ご検討お願い致します。

 

正直、分銅型は張ったことがないのですが、広島式で張ろうとしている方は、当時はナチュラルのはずなので10秒はそのままナイロンに使用し、ポリは

1.5倍の15秒で試してみて下さい。

 

 

 

残る課題 クロスのテンションの決め方 2020/4/9  (16/19での話)

メイン50なら、貴方のクロスは50?48?47? 極端にいうと、秒数を決めた分銅型+ストリング種+クロステンション の3つで打感がほぼ決まる。

 

例えば50 lbsで指定された場合私は、メインは当然50 lbs、クロスは−3の47 lbsで張っています。 理由は1、クロスは最下部もしくは最上部からスタートする

ので、サイドが寄り易い気がするから低め  2、バネ式の目盛りが3lbs刻みなので、間違いが少ない 3、張り上げ後の形状も問題ない 4.張り上げ測定値も

設定値と同等の結果が得られる・です。

 

但し、ヨネックス(角型傾向が強い)更に、外観的に縦長傾向が強いフレームは、クロスは−6 lbsの44 lbs。 変形を極力防止するための経験則です。

自営を始めた当時のヨネックスは非常に柔らかいフレームが多く、当初はヨネックス専用で決めた-6。 その後に、より縦長フレームにも採用。 そんな

こんなでクロステンションの指定はお断りしています。

 

以下のスティング2も縦長感ギリギリの感じですが、85インチでクロスも少ない(18)ので50/47。 

 

   

 

以前も書きましたが打感の主役はクロスで、ハイブリッドを張った経験からもう明白です。  メインはそのクロスを支える意味で脇役。 誤解されても

困るのですが、それ以外はどーでも良い・の意味ではありません。 ご自分のマニュアルに添って張って下さい。 クロスの中央部は特に間違えないように・

雑に張らないようにして欲しい・の意味です。

 

クロスのテンションを変えると、使う人は直ぐに違いが判ります。 逆に、クロスのストリング種とテンションを変えなければ同じ打感になりますので、極端な

ことをしない限り問題は生じないと思います。

 

クロス47と48の1lbs差は、当方所持の測定器では最小2lbs差しか表示されないので、確認することができない。 張りの誤差範囲的と捉えても良いとは

思いますが、1 lbs変えればその分は変わっているはずなので、注意も必要です。 

 

張る手順はメインは中央から左右に振り分け、クロスは端から一方通行なので、縦横同じテンションはかなり違和感があります。 単なる感。 正直、メインと

クロスを同じテンションで張った経験はありませんが、過去の形状測定の結果からも、クロスは少し下げた方が良いような気がします。

 

クロスを端から3〜4本目から振り分けて張ることが多いようですが、それもサイド寄り(縦長傾向)の対策。 その意味でもクロスは少し落とすことが良いですね。

当方と同レベル程度で形状測定ができる方は、その結果を尊重して落とす、落とさないを判断すれば良いです。

 

 

 

武漢ウイルス等感染症の対策 2020/3/29

実は私は、お客様から預かったラケットは、グリップにラップを巻いて張り替えをしています。 理由は万万が一感染症のお客様がいたら、私の手を仲介して

他の方のグリップに付着させてしまうことが心配で、営業始めた当時からラップ巻きを行っています。

 

武漢ウイルスにも当てはまると思いますので、どれだけ役に立つかは判りませんが、やらないよりは良いかと。  振動止め付きで張替えの場合は、

ラップに入れておけば無くす心配もなし。

 

 

なんで昔からラップを巻いてんの? はですね実は、汚れたグリップのまま張替えに出すお客様が意外に多いんです。 ちょっと握りたくない・・がきっかけ。

但し、オーバーグリップが新品もしくは比較的綺麗なら、ラップが張り付いて取れなくなります。 頼まれて人の張替えをする方は、何かしらの対策を検討した方が

良いと思います。

 

 

 

張りの品質管理(QC) 2020/3/29

どこのメーカーも同じと思いますが品質管理(QC)は重要なテーマ。 カップラーメンのお湯掛けて3分はQC。 温度*時間で管理。

張りも、テンション値*時間なので似ていますね。

 

同じ材料で同じ機械で同じ人が作業していれば品質が変わるはずがない・ならメーカーは苦労しないのですが、困ったことに変わる。  まず材料、一見同じ

に見えますが、ロットが変わると中身(質)も少し変わる。 同じ機械も 経年劣化が進行 微妙に少しづつ精度が落ちる。

 

人も、余裕のある時と忙しいときでは動作が変わる等々。 それらを管理するためにマニュアルがあり、QCに色々な手法があります。  メーカーとしては、

常に同じ品質の商品を作るために日々苦労しています。 (品質向上の意味ではない) 良くなる・もQC的には品質が変わったことになり、良くないのです。 

目指すのは「常に同じ」。

 

話を張りに戻すと、狙った固さに張り上げること。 二張り目もn張り目も同じ固さに張り上げる再現性が非常に大事。ですので、時間張りを行うには最低限、

以下を守って下さい。

 

@マシンの校正  私は不定期ですが、長くても3ヶ月に一度は50lbsで確認します。 分銅型の頻度は少なくて良いとは思いますが、半年に1度位はした方が

安心感があるはず。

 

A時間を決めて守る  以下に紹介した時間は、私の張り作業の中で決めた時間(秒数)。皆さんの目安となると感じますが、同じ時間を推奨するものでは

ありません。個人個人で決めればよいです。 長く設定すると張上がりが固くなり、短くすると緩くなります。

2〜3秒ならのショップのオウル不使用の自動機と同じレベル)

 

ポリがなければ1種類の秒数で済むはずですが、ポリはナチュラル、ナイロンとは同じ時間では無理と感じるので、ナイロンとポリの二種の秒数を決める

正直ポリは、もう少し長く(20秒以上)した方が良かったかな・・と思うことも。 理由は、ナイロン12秒、ポリ18秒で張り上がりを測定すると、ポリが(ナイロンより)

2lbsほど低く表示され、時間を伸ばせば同じ値になる可能性が高いのですが、比重はポリの方が重いのでその影響だとするなら少し低いのは妥当なのか

とか・・・ポリのゲージの方が細いので本来は、ナイロンより高い測定値のはずだが・・等々悩みました。 皆さんも自分の張りを悩んでみて。 蕎麦とラーメンでは

茹で時間が変わることと同じですね。  素材に合わせた時間が必要。  二種の時間を決めたら、安易に変更しないこと。

 

B常に同じ動作、操作  中々難しい点ですが特に忙しい、焦ると動作は早くなりがち。 既にご理解の方も多いはず。 トータルの時間は同じでも、分銅から

手を離すタイミングが早いと、保持(Keep)の時間が長くなりますので、同じとは言えなくなります。何かが変わるはず。 油断は禁物です。

   

   広島式10秒で問題があるとすれば、分銅を離す以前の動作に決まりが無いこと。 チャックしてから手を離すまでをどの程度の早さで行うのが良いのか

皆さんで考えてみて下さい。

 

Cマシンの整備と給油 ストリングマシンはシンプルな機械ですがそれでも、稼動部は給油が必要です。(ベースプレートは禁油ですよ、念のため)

特にテンションヘッド廻り。 半年に一度位は清掃を兼ねて各部のチェックと給油をして下さい。 マシンのマニュアルを参考にして。

 

D測定器 自分のラケットを張るだけなら不必要かも知れませんが本来は、主観に頼らない何かの基準があった方が良い。今はスマホの測定ソフトもありますので、

ダウンロードすれば役に立つはずです。

 

E温度管理 文献には、ナイロンは熱可塑性樹脂(加熱すると柔らかくなる性質)。一方ポリ(ポリエステル)は熱硬化性樹脂(加熱すると固くなる性質)。

熱に対しては真逆の性格を有しています。 ポリは室温を気にする必要は無いかも知れませんが、この点は私も判らない。

なのでナイロンに絞った内容になりますが、ナイロンは温度に敏感です。

   テニスは屋外スポーツですので張るときも極力、外気温に近づけることが良いです。張る環境の室温を限りなくラケットを使用する外気温に近づける。

そうすることで、張り時と使用時の温度差による影響を少なくすることができます。

 

しかし、寒すぎたり暑過ぎたりでは作業もやり難いので、可能な限りということ。 つまり、極端な冷房、暖房は避けて。 私は冬季は10〜12°足元に

400Wの赤外線ヒーター一つ。 夏季は平均30°位が多いかと。 暑過ぎるときはエアコンを除湿で運転してます。

 

ひとり言

自動機が現れた当時は、誰でも良い張りができる等の宣伝文句で販売され、今でもそれを信じているプレーヤーは多いよう。  ショップですらテニス未経験者が

張ることが多いので、新しいマシンが良いと考え勝ち。 バネ式です と言うと、フンと鼻で笑われることもありましたね。 

 

見直され少しづつ増えそうな気はしますが、分銅式が一番良い・と評価されるまでには時間が掛かります。 全国のショップが分銅式で広島式で張っていたら、

日本のテニスはもっとレベルが上がっていたはず。

  

 

 

 

ストリングムーバー 2018/12/26    この工具は使い方に悩む方が多いと思いますが、

 

 

用途は、クロスストリング 湾曲の防止。

 

 

 

単にクロスを引くと、メインとの摩擦で上図の様に湾曲する。

 

 

この曲がりは、張り上がり後に直線になるよう修正するので、せっかく引いたクロスのテンションが下がることは明白。

 

 

 

そこで上図左にもあるが、下図の道具を自作(3本足ムーバー)

 

 

 

3本足でクロスの湾曲を抑えつつテンションを掛ける。 つまり、クロスを極力直線にして引くことが目的。  メインと同じ直線で引く・ですね。

 

 

但し、これを使用しても、張り上がり後の若干の修正作業は必要ですが、動かす距離は格段に少なくなります。  1本足のムーバーでも効果はあるので、

使った方が横糸の質は向上すると思います。 

 

 

 

 

時間張りもしくは、分銅型 広島式10秒なら余裕でできる。

 

 

 

メインとクロスのバランス Sラケを張る際の参考 2016/05/20

例えば、円形フレームに、メイン(縦)クロス(横)同時にテンションを掛けられるなら、同じテンションで張ることが変形を防ぐには有効と考えるのが普通。

しかしラケットはまずメインを全て張り、次にクロスで時間差がある。 更に、フレームの多くは円ではなくメインが長くクロスが短い卵型。

 

ストリングパターンはメインより、クロスが数本多いことが普通。メインが16ならクロスは18、19、20のどれか。メインが18ならクロスは19、20、21。まれに

メイン14クロス18などもあるなど、色々複雑な要素が絡んでくる。

 

従来、16/19で変形を抑えるにはメイン50lbsなら、クロスは47、48lbsで張ることが変形最小にできる多くのストリンガーの経験則。 そこでざっくりと16/19を

50lbsで張った場合のテンション総計(累積)を計算すると、

メインの総計は16*50=800lbs

クロスの総計は19*47=893lbs  計算上はクロスの方が1割ほど高くなる。

 

一見、クロスが強すぎ?と思われるかも知れないがクロスを引くことは、既に張ったメインを交互に曲げながら張る為に、現実のメインは、クロスを張り上げた

段階で設定値より上がっているはず。この経験則がバランスが取れる最適値と考えるべきかと。 それらを踏まえた上で、Sラケ等の糸数異常ラケットの

張替えに挑んでみて下さい。

 

 

 

目的その2  形状の把握 2016/05/17

張りの目的は(既に記述している通り)狙ったテンションに張ることに加え、変形を如何に少なくするか。 その為には、張り前と張り後の形状を測定する必要が

ありますが、ホームストリンガーの皆さんは変形の度合いを把握していますか?

 

 

変形をゼロにすることは基本的に不可能。 累積で軽自動車1台分ほどの加重になりますので、必ず変形が発生します。ストリングは縦と横の十字に張ります

ので、上図で垂直、水平方向に1の内側に引かれます。必然的に四角くなろうと結果として斜め45°の2の部分が出っ張る。

 

Bは、木製ラケットを張りっぱなしで長期間放置すると、その応力が目に見える。 (元々はCの卵型の形状)。最近のグラファイトはここまで極端に変形することは

ありませんが、掛かる応力の方向は同じですね。

 

問題は変形の程度。どこがどれ位?何mm位のズレで収まるのか・・ブリッジ(ヨーク)部はスロートに守られほとんど変形はありませんので、その直上から

トップまでの形状を測定する必要がありました。 自分のラケットを張っているだけなら無視して良いのかも知れませんが、商売で張るならそうもいきません。

現実的に望ましい形状としては、トップ、サイド共に同じ程度に内側に寄ることかと。

 

 

しかし、メインとクロスのバランスが極端に悪いと、

 

縦が強すぎると左図、横が強過ぎると右図の縦長傾向も当然あり得るはずですね。自分の張りが実際にどーなっているのかを知りたい。 ショップでよく聞く

のはメジャーで・・ (んなもん無理にきまっとる)

 

曲面の形状を精度良く測定しようと思うと、製造業では三次元測定器が常識。しかし、一自営業者にん千万は手が出ないし、数ミクロンなど無意味な高精度も

必要なし。そこで自作したのが・・・

 

この道具 (二次元トレーサーと名付けたもの) 2016/06/14

 

 

A3記録用の紙をセロテープで固定。3つの基準点でフレームを固定。画像右端はトレース用の筆記具(ボールペンの芯)。原形用の黒と張り上がり用の赤の

2種。

 

 

トレースの様子

 

まず、張り前フレームの片側半周を黒芯でトレースし、ラケットを反転させ残りの半周を引く。 張り上がり後は赤芯で同様に両側をトレースする。

張る前の黒線2本、張り上げ後の赤線2本を引くことになる。 靴屋さんで足型を取る方法と同じ。 フレームに変形がある場合も、張る前に判る。

 

 

 

記録例1  用紙を180度反転させた状態で、左がトップ側

 

 

トップで黒線より赤線が約1mm強内側に入り、サイドも赤線が1mm程内側に寄る。  肩の付近でほぼ面一。 この測定結果が最も多いパターン。

 

 

 

ところが・・記録例2

 

 

ストリングパターンが真逆のBURNは トップが2〜3mm凹み、サイドは微妙に外に(赤線が外側)膨らみ(通常とは逆)。サイドの凹凸はストリングの頭を

拾った様子だが、明らかに縦に潰れ丸形傾向の状態。  予測はしていたが 対策を取ったにも関わらずこの有様。  多少の対策では歯が立たない。

 

いわゆるSラケは、形状が安定するまでメインとクロスのバランス調整を試行錯誤をせざるを得ない。 当然ながら、顧客が望む打感を維持しつつの調整に

なるので、数回の張りでは結論は出ないような気がする。

 

画像中の目隠し部分は日付、顧客氏名、ラケット名称、ストリング名称、テンション詳細等の記録。 変形の記録と張りの内訳でトレーサビリティが目的。

開業以来、全数測定を継続し、4cm厚ファイルで20冊目・・かなり邪魔になりつつある。

 

Sラケは別にしても、面サイズが大きくなるほど、卵形状から乖離するほど、テンションが高くなるほど変形も大きくなる。 マシン固定の力加減でも変わるような

気がするし、同じラケットでも都度微妙に変形度合いが変わることもある。  理由はわからん・・  変形が最も少ないのは85〜90インチ。

 

但し、上記の内容は当方の張りの結果・ですので、皆さんも同じ・ではありません(多分)ので、ご注意ください。  実際に測定しないと判らない。

 

 

 

プリンス O3の張り 2016/05/14

 

 

上図のラケットはEXO3ブラック 104インチ

ブーメランツールの代わりとなるスペーサー(治具)を色々自作した。これが無いとO3はまともに張れない。逆にこれがあれば、O3であっても他のラケットと

同等に張ることが可能で、同等の固さに張り上がる。(画像と図面が勝手違いですが気にしない)

 

最初は身の回りにある木材で作ったが柔らかく、割れたり・・で最終的には、以下の樹脂素材をホームセンターで入手。「アイボリー平板 4.5*30 No266 PVC」

長さ1m。柔らかいのでノコで切ったりやすりで削ったりは楽。

図面には表記していませんが、糸道の端は角を落とす。概ねこの形状であればよく、寸法に拘る必要なし。糸道の反対側にある凹みは、似たように付けて下さい。

これが無いと、テンション掛けた時にすっ飛びます。木材しか無いなら、極力固い材質を選択して。

 

 

 

セットの状態 2016/04/29

 

 

サイドの膨らみを極力抑制したい為に、上画像の治具2本を自作。 単純な構造だが、意外にしっかりと押さえてくれる。 ソフトラケットは中央1個のみ。

既製品で中央1箇所固定の治具は見た記憶があるが、複数で固定したかった。

 

従来の張り方での形状の変化は、メインを張りつつ横に膨らませ、クロスを張りながら元の形状に戻す・がよく言われている。 マシンの構造からも容易に

想像できる挙動。 しかしこの方法には違和感があり、何とかしたい気持ちが強かったことが元。

 

サイドの膨らみを抑制すると何が良いかは、変形を抑制することでクロス個々がより均質になるはずの予測。 結果の計測はほぼ不可能だが、指で押した印象

では以前よりは良いような気が。 クロスは気を使い過ぎるくらいでも損はなく、非常に重要なポイントと思う。 

見て判るとおり、メインの糸通しには邪魔で時間も掛かるが、まあ慣れですね。 自営開始とほぼ同時なので、もう20年ほど愛用です。

 

テーブル周辺の改造(不具合の改善)は7〜8箇所。自加工もあるが加工業者に依頼した部分もあり、追々とご紹介(済み)。 

この張りに呼称を付けるなら「形状維持・時間張り」となるかと。